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第1話 他人の召喚陣に飛び込んでみた

とりあえず

また初めてみました。

色々、前作完結してないのに

放置してるのにです


10日に一度更新すると思います

どうぞ、よろしくお願いします

「飽きてきたなぁ〜」


 八和しおの謙譲ゆずるは、流れる雲を見上げながらつぶやいた。


 ここは会社と自宅の中間くらいにある河原の駐車場。謙譲ゆずるは営業回りをする車の中でさぼっていた。この駐車場の真上には、鉄道が走っており、河原の斜向かいには、学校と思われる体育館がある。謙譲ゆずるの車の中からでは、その学校の種別までは分からない。


 謙譲ゆずるは、携帯や複合機などを取り扱う営業会社のエース営業マンである。月半ばであるにも関わらず、既にノルマは達成していた。こんなに早く達成した事を会社に報告すると同じ量の月目標と同等ノルマが加算されてしまう。


 例えば5人のチームで、1人のノルマが20件、合計100件だったとしよう。1人で100件を達成し、残り4人が0件だったとしてもチームとしては達成である。勿論、個人達成は1人だけで、残り4人は未達成となる。しかし、この状況が月の15日だった場合、チーム進捗は200%の達成となる為、さらにチームに100件のノルマが加算されてしまうのだ。もう達成したのだから残りは会社に来るだけで良いとかならないのが、世知辛い。


 そんな状況の為、上司には「個人・チームともに進捗は95%〜105%で推移し、達成見込みではあるが、まだ分からない」と報告していた。また、顧客様には、契約書類を月末25日くらいに出してもらうように手配もしてあった。


 謙譲ゆずるの勤める会社は、大手営業会社である。大学生時代に都会にある販社の別部署で電話営業のアルバイトをしていた伝手で就職した。学生アルバイトでありながら、月40〜50万稼いでいた。その為、当時の上長であり、アルバイトをしていた部署の統括が、僻地の地域販社の社長として異動する際に、「来ないか」と誘われた。ちょうど大学も卒業間近だったこともあり、その誘いに乗って、簡単に就職したのである。


 同じような部署での就職かと思いきや、アルバイトの頃に扱っていた回線やISPではなく、携帯や複合機などの商材だった。これには新人の頃、とても苦労した思い出があるが、謙譲ゆずるの秘密の能力でなんとかトップ成績を維持し続けている。謙譲ゆずるは元来、飽き症な性格である為、TLチームリーダーSMrgサブマネージャーにはなっても、Mrgマネージャーや統括部長などの地位にはならなかった。何度も社長に「十分稼いだろ。そろそろ経営者側に来い」と誘われたか分からない。


「飽きてきたなぁ〜」


 もう何度目になるか分からない定型句を呟く。謙譲ゆずるは、会社に飽きたのではない。なんでも出来てしまう現状に飽きたのである。


「はぁ、とは言ってもどうしようもないかぁ」


 謙譲ゆずるには、誰にも話せない重大な秘密があった。家族すら知らない秘密である。そろそろ30歳になる謙譲ゆずるであるが、その秘密を保持して15年ほどになる。


 それは15歳になる年の夏だったと思う。お盆の時期に父の実家がある九州の山の奥に、家族みんなで帰省していた時の事だ。父にとっては帰省なのだろうが、自分にとってはただ遊びに行っただけの感覚だった。おっと、話を戻そう。祖父母の家の裏には、雑木林が広がっており、カブト虫捕りだったか肝試しだったか忘れてしまったが、夜中に家を抜け出し探検していた。祖父母の家系は江戸時代までは神主だったらしく、雑木林の奥にはほこらがあると聞いていたので、おそらくは肝試しのつもりだったのだろう。星降る夜だった。雑木林の中から、夜空を見上げても、時折流星が流れるのが見て取れた。ようやく祠の近くまで来た時、ふと見上げた空から星が落ちてきたように見えた。「え?」と声をあげる間も無く、星の光は祠にぶち当たり、祠の中から場違いな人物が現れた。


「ふあぁぁあ。こんな東の最果ての島国に封印されてしまうなんて。ん?君が封印を解いてくれたのかしら。何でも3つ願いを叶えてあげましょう。」


 出てきた人物は、西洋の悪魔のような事をのたまう。髪は金髪、出るとこは出ていて、引っ込むべき所はきちんと引っ込んでいる美女だった。


「3つか。等価交換に魂を奪うのか?」

「へぇ、子供にしてはなかなか知的じゃない。そう1人の魂で、3つの願いを叶える事にしているの。」

「なら、他人の魂でも良いのかな?」

「・・・フフフ。そんな事を聞いてきたのは君が初めてよ。そうね。その通りだよ。でも、その人を殺した分のカルマは君が背負う事になるわよ。余りに多くのカルマを背負えば、体調は悪くなるし、来世でも悲惨な目に合う。よした方がいいわ。」

カルマを誰かに譲渡すればいいさ」

「アハハハハハ!!面白い。面白いわ、君!そうね、そういう方法をすぐに思いつくなんて、私よりも悪魔じゃないの?」


 こんなやり取りの後に、謙譲ゆずるは、この世界の逃げ延びている兇悪犯罪者や裏社会で暗躍しているような輩等の魂約100万人分を糧に300万回分の願いを叶えて貰う契約をした。勿論、それによって背負うはずのカルマは、裏社会に関わりがある表舞台の人物に均等に振り分けた。自分の悪業カルマもついでに振り分けて貰ったら、金髪の美女からさらに「本当に悪魔じゃないの?」という言葉を頂戴する事となった。


 また、金髪の美女が悪魔である事が都合が悪いと感じた謙譲ゆずるは、願いの1回分を消費して、付喪神つくもがみの様な存在になってもらい、その時から他人には見えないペンダントをつける様になったのである。


 それからというもの様々な事態で願いを叶えてもらい生活を豊かにしていった。悪人の魂を使う事以外で、犯罪に関わる様なことは殆どしていない。まぁ、魂を奪った連中の財産とかがどうなったかは、想像にお任せする事にしよう。


 だが、まぁ、そんなイージーモードな生活を続けていれば退屈するのは仕方ない事だ。それでも15年も続けているのだから、粘った方かもしれない。


「なんか楽しい事ないかなぁ」

「あるわよ」

「何?」

「ほら、あそこの学校。1箇所だけ輝いてるでしょ?」

「何だ?何かの実験中か?」

「違うわよ。異世界からの干渉がかかってるの。便乗しない?楽しい事になるかもよ?」

「へぇ。いいな、それ」


 小説なんかでよくある異世界召喚がまさに起こっていた。40人のクラスに溶け込む様に、謙譲ゆずるは、ペンダントの力で潜り込んだのである。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 謙譲ゆずるたちは、永遠に白が続く空間に立っていた。目の前の空間には、人魂の様な形をしたものが、列をなして直径1mほどありそうな紫色の水晶に並んでいる。人魂の様なものは水晶の前に進むと、水晶が輝いた後に消えていく。とてもリズミカルな動きで、音に例えるなら、「カシャン、カシャン、カシャン」といった感じだった。


 紫色の水晶の横には、人魂たちを優しく見守る様に女性が立っている。その女性はシルクの様な布を体に巻きつけている状態であった。ふと、その女性がこちらを見て驚き、そして警戒する様に近づいて来る。


「あなた達は何者ですか?」


 複数形で聞いてくるということは、ペンダントの中の者も数えている様だ。さて、何と答えようか?


「ここは、召喚の前段階。ここに意識を持って来れる者は、なかなかいないはずです。それに召喚されたのは40人の10代の者たちだけのはず。どうやってここに?」


 40人と年代を指定したのか。そりゃ、30近い人間が混ざってりゃ、不審に思うわな。


「あー、なんだ、学校の近くに居たんだか、何か光ったからさ。『小説とかによくある召喚かな?混ざろかな?』って思ったら、ここに来ちまったんだよ」


 女性は、あり得ないと言わんばかりの顔をしながら言う。


「そんな事有り得る訳ないでしょ!!」

「と言われてもな。来ちまったもんは仕方ないだろ。前の所は退屈だったし、戻る気もないぞ」

「はぁ、まぁいいです。こちらでかれらと同じ歳になるよう変更しておきますから、さっさとあの水晶に触って、行ってください」


 彼女曰く、紫色の水晶に触れるとその者の魂の質によって、次の世界での固有能力が発現するとの事だった。


あ、これ欲しい


 先ほどの人魂たちの動きを見るにつけ、時間があったらゆっくり選べるのにと、思っていたのだ。


《マスター、流石に触って頂かないと手に入れられませんよ》


 ペンダントからの声に従い、水晶に近づく。念のため、女性にも一言言っておく。


「このペンダントはインテリジェンスアイテムなんだけど、これも人として認識してたからこれを先に触れさせてもいいかな?」

「構いませんよ」


 まずは、ペンダントを触れさせる。しばらくすると、《複写完了》との返答が。やっぱり、チートだよね、君。次に、自分で紫色の水晶に触れてみる。あれ?選べるの?先ほどの人魂たちは、自動だったみたいなのに。仕方ない。質問してみるか。


「あのー、選択できるみたいなんですが、いいんですかね?」

「せ、選択!?どれだけの魂量なの!?650万オーバー!?どう言う事!?」


 世の中は2:2:6(にーにーろく)の法則で成り立っている、という話を聞いたことがないだろうか。例えが簡単なので、働き蟻の話で2:2:6の法則について説明しよう。働き蟻のうち、6割は普通に働く蟻であるが、残りの4割のうち半分はより勤勉に働く、もう一方はサボっているのかさほど勤勉ではない。サボっている2割を除くと、一定期間過ぎると2割がサボりだす。逆により勤勉な蟻を除いても、同じように2割が勤勉になる。必ずと言って良いほど、2:2:6の割合になってしまうのだ。


 2:2:6の法則は、人間社会でも適用される。より勤勉な2割と普通に働く6割とサボっているような2割と。善行悪行も同じ。より善行を積む2割と普通に生活する6割と悪行に走る2割と。今はペンダントになっているあの美女悪魔を手に入れた時に行ったを繰り返す事になったのだ。つまり、悪行に走る者共は、定期的に間引かなければならなかった。そう、定期的に魂と彼らの財産とを手に入れたのである。その為、累計650万を超える数値となっているのだ。勿論、悪業カルマをのぞいている為、普通の魂のようだが。


「で、選択していいの?時間大丈夫?」

「あ、はい。普通は1つなのですが、50個くらい選べそうですね。あと、時間は停止してますので気にせずに。」


50個かぁ、何にするかな。


 時間は気にしなくていい様だが、サクッと決めてしまおう。どうやら、検索機能があるようだ。「魔法」「スキル」「経験値」「回復」「能力」「アイテム」とどんどん検索して固有ユニークスキルを選んでいく。37個選んだ辺りで欲しいものは無くなった。


「スキル以外で選べるのある?」

固有ユニーク魔法とか、加護とかですかね。」


 何も考えず、テキトーに、固有魔法7つと加護を6つ選んだ。


んー、SPが余るなぁ

この女、テキトーな数を言ったんじゃね?

まぁ、後で選ぶとしよう


「選んだぞ。これからどうすれば良い?」

「まずは、あなたのステータスを・・・、見えない!?」

「あぁ、隠蔽偽装で一番レベルの高いものを選んだからな。ちょっと解除するよ。」


-------------------ー-------------------ー

ユズル・シオノ

Lv.1

HP 150/150

MP 250/250

SP 7164235


体力   150

攻撃力  200

器用さ  250

知力   250

敏捷性  100

生命力  150

精神力  250

回避   100

防御力  150

魔法防御 250

運    999


【職種】剣士Lv.1

【固有スキル】異世界言語Lv.10、魔法全属性EX、HP自動回復EX、MP自動回復EX、経験値100倍、必要経験値1/100、対全属性無効、魔法無効、魔法無効突破、無詠唱、詠唱破棄、同列魔法、並列魔法、森羅万象、魔法創造、入手SP100倍、消費SP減少EX、スキル獲得率EX、スキル奪取、能力奪取、SP奪取、完全奪取、SP譲渡、スキル複写、スキル付与、魔法属性複写、魔法属性奪取、魔法属性付与、夢幻の鍵、神魔の鍵、採掘採取量上昇EX、上位鑑定Ⅹ、絶対隠蔽偽装Ⅹ、全生物感知、広域上位鑑定、無限収納インベントリ地図作成マッピング

【固有魔法】治癒魔法、契約魔法、命名魔法、創匠魔法、空間魔法、時間魔法、広域魔法

【称号】次元を超える者、癒しを与える者、強慾なる者

【加護】時空神の加護、武神の加護、智神の加護、魔法神の加護、精霊神の加護、龍神の加護

-------------------ー-------------------ー


「な、な、な、な、何ですか?!この数値は!!し、し、しかも時空神の加護とか!?何で私の上司の加護を?!」

「普通に選べるたぞ?」

「はぁ、適性があったんでしょうが、Lv.1のステータスが高すぎです!!一般人の100倍あるじゃないですか!!召喚勇者としても10倍はありますよ!!」

「あー、勇者とか面倒くさい。まったり、楽しく過ごしたい」

「なら偽装を使って、弱く見せたりとかは?」

「そもそも姿を消して去る方がいいんじゃね?先に行った奴らとは知り合いでもねーし。」

「可能なら、それでもいいですよ。」

「んじゃ、そういう事で」


 別れの挨拶もそこそこに、異世界に転移した。

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