3話 ---防御術始---
「では訓練続行!」
みんな一気に散開し元の訓練に戻っていく。
「ドコデモドア兄弟にはまず型稽古をやってもらおうかの。あっちに行って木剣で皆の真似をしてみるといい。」
師匠から木剣を渡してもらうと、兄弟は型稽古の一団へ混ざって行った。
「さてと。さすがにヒロとハルに皆と同じ訓練は無理じゃろうて。それに怪我などさせたら御当主様はともかくアマリアーヌ様のお咎めが恐ろしいわい。ということで聊か反則じゃが二人には先に防御強化術を習得してもらおうかの。ウルディーナ、エルレン。こっちに来て手伝え。」
型稽古をしていた女騎士二人がこちらへやってくる。
僕らの御付きをしてくれた騎士姉さん達だ。
「二人とも、儂に全力で打ち込んでみてくれ。強化術無しでの」
全身、緑の魔力が覆う師匠へ、騎士姉さんの全力の斬撃がぶち当たる。
ぶち当たる瞬間、師匠の魔力が…黄色に?…変わった?
一瞬だった。
今では緑に戻っている。
「このように防御強化術があればそう簡単に傷つきはせぬ。強化された斬撃なら怪しいものだがの。何をするにもこれを極めてからじゃな。」
師匠はそういって騎士姉さんたちに指示を出す。
僕らに寸止め斬撃を僕らに放ち続け、防御強化術ができたかどうか見極めるという事だ。
二人は土属性で、防御強化術では団トップクラスとの事だ。
防御が鉄壁過ぎて、行き遅れないか心配しているようだが。
「師匠。今のは騎士団みんなができる事ですか。」
「そうじゃの。多少の得手不得手はあるようじゃが」
模擬戦をしている団員を良く見ると、確かに、当たる一瞬だけ纏う魔力色が黄色に変色している。
「ヌシらは、この木剣で防御、反撃を繰り返しつつも『相手の剣を跳ね返す』思いを持つのじゃ。いい傾向があればその都度、こ奴らがアドバイスしてくれる。では始め!」
10分後…
「ヒロ君はなんでそんな簡単に防御強化術が習得できたの?それにそんないやらしい真似するなんて。」
騎士姉さんウルディーナ、改めウル姉さんが涙目になっていた。
別に『お尻ナデナデ』や『おっぱいモミモミ』したわけではない。
この防御術。
本来なら数日かけてコツをつかみ、ひと月かけて習得するものらしい。
さっき師匠のやったことを真似て、さらにそれを工夫しただけなのだが…




