4話 ---魔肉入荷---
生肉は市場では原則、販売禁止だ。
冷蔵庫がない以上、肉は屠殺してすぐ食べるか、加工するしかない。
ここでは、干し肉、燻製肉、塩漬け肉のみ売っている。
さして真新しいと感じる事もなく、賑わいだけを楽しみ通り過ぎようとすると、売り場の一角から口上が…
「さーてお立合い!今入荷したての『ポーク』肉だよ!」
ん?『ポーク』?
『ポーク』って『豚肉』?直訳すると『豚肉』肉?
騎士姉さんに連れっててもらおう。
そこには[僕の眼には]光ってる、腸詰やらハムが並べられていた。
「『ポーク』専門の狩人から買い付けた逸品だ。ちょっとお値段は高いが、それだけの価値はあるよ」
とりあえず質問だ。
「おじちゃん『ポーク』って何?」
おじさんはちょっとびっくりしていたが、すぐにニンマリ笑って
「おーっと、小さな坊ちゃん。良くぞ聞いてくれました。『ポーク』というのは二脚歩行の豚の魔物で身の丈17シャックン(約3m)。その肉は他の家畜とは比較にならない美味だが、非常に狂暴で群れて行動するために狩る事の難しい魔物だね。」
それってファンタジー系では『オーク』という魔物では?
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ファンタジー系での魔物の名前だが、原典を探るとそれは妖精の名前である。
妖精と言っても翅の生えている者ばかりでなくそれには怪物等も含まれる。
『妖精』と表現されているがその存在は日本では『妖怪』と同義である。
原典ではオークは豚頭ではないし、コボルトは犬頭ではない。
トロルは記述が様々あり、巨人だとは言い切れない。かの有名な「夢民」もトロルの一種ではある。
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オーク似の魔物の名前が『俺』の世界での豚肉とは、皮肉が効いている。(肉だけに)
こうなると、コカトリス=『チキン』 ミノタウロス=『ビーフ』と言うこともありうるな。
[僕の眼には]光って見えてるって事は、魔物肉なだけに魔力含有量が桁違いって事か。
早速爺さん、
「腸詰一本、もらおうかの。」
「毎度!」
爺さんが買うということは、これは『当たり』の商品か。じゃ、僕も
「僕にもいっ…」爺さんに首根っこつかまれた。
「ヒロよ。『魔物肉も6歳になってから』じゃ」
…さいですか。




