8話 ---老手一閃---
「俺の銭が受け取れねぇって言うのかぁっ!!!!」
怒号が聞こえてきた方を向けば、そこには、どこぞの世紀末からやってこられた一団がいた。
「俺様が金貨で払ってやろうと言うとんじゃ。ありがた~く受け取りやがれ!」
とモヒカンが言う。
「そうはいっても、看板にも書いてある通り。銀貨でお支払い下さぃ。」
ウエイトレスの姉さんが涙目になりながら抗議している。助けなければ。でもどうやって…
「騎士の爺さん。頼めるかい?」
おばちゃんが声をかけてきた。
「儂は用心棒するためにこの店に通うとるわけじゃないんだが。のっ!」
というが早いが、全身に魔力を巡らせ
一瞬でモヒカンに接敵
首筋に手刀
あっという間に意識を刈り取ってしまった。
一瞬の間の後、周りからは歓声が上がった。
「相変わらず爺さんはすげーな」
「俺、何が起こったか見えなかった」
「キャー老騎士様素敵ー!」
世紀末一団があっけにとられている。
「そこのお仲間達」
爺さんからの声に、一団がびくついた。
「そこの倒れているデカ物と共に今日は引き取ってくれんかの?できれば今度来る時は多少の礼儀をわきまえてくれると助かるんじゃが。」
爺さんがのほほんと言う。
「さもないと…」
爺さんの眼が鋭く光ると…
「すいませんでしたーーーー!」
モヒカンさんは足を引っ張られ、一団は去っていく。おかげでモヒカンさん、頭をあちこちにぶつけている。大丈夫だろうか?
「たまにね、ああいった輩がいるもんで、常連の腕っぷしのいい者に頼んで対処してもらうのさ。」
おばちゃんが説明してくれる。
「でもそんな常連さんがいない時はどうするんです?」
「ちびっこなのによくそんなところに気が付くね?そんな時はあたしや厨房の旦那の出番さ。こう見えてもあたしや旦那は元傭兵さね。」
今はただのおばちゃんにしか見えないのだが……人は見かけによらないという事か。
「まあ、あたしらが出張るより常連さんに頼んだ方がすぐに片付くんでね。というわけで今後とも頼りにしてるよ。騎士の爺さん♡」
「え~い気色悪い。なっじゃその♡は?」
「ともかく助かったよ。さ、冷めないうちにどんどん食べとくれ。」




