6話 ---街遊許可---
「父上。僕はこれから街を散策してみたく思います。」
一応、『街を見に行くこと。』も条件提示していたがどうだろう?
「一応約束だからそうしたいのはやまやまじゃが…」
「ぼくもいきたい。ちちうえ。だめですか?」
ハルの『どうするア○フル作戦』発動だ。
…
「旦那様。少々よろしいでしょうか?」
騎士団長が声をかけてくる。
「何かな?」
「フィロルウェイン様、ファルシオン様には私と他二名の女騎士を護衛に着けます。それならば旦那様の憂いが払拭されるのでは?」
騎士団長がいい提案をしてきた。
「幸いにも今のご子息様方のご衣裳は、騎士爵の子弟と言っても差し支えないものにございます。また、私が付いている以上早々に危険な事態へは至らないものと思いますが。」
この爺さん。相当な自信だ。
「旦那様方の帰館には、近くに待機させている騎士を着けます。」
今回の少数護衛だが、本当に『少数』なわけではない。
いざというときに対応できるよう数人の騎士が着かず離れずの位置に待機しているそうだ。
「うむ。帥がそこまで言うならば任せてもよいか?」
ヤッター。許可降りた。
父と義母は、馬車で屋敷に帰って行った。
この部屋は自身はもう少し使わせてもらっている。
「騎士団長。今回の提言、ありがとうございます。」
「いえいえ。このたびの件は、旦那様に約束を違わせないようにしたものです。お気になさいませぬよう。」
「ここで確認なのですが、僕たちの衣装では騎士爵の子弟にみえるのですよね。」
「はい。その様な衣装となります。」
「それでしたら騎士団長は騎士爵隠居の『お爺様』。僕らはその孫で『ヒロ』と『ハル』。女騎士さんは僕らの子守役。と言いう設定にしてみませんか?」
「…それは面白い提案ですな。」
さっきまで真面目顔の爺さんが、いたずらっ子のようににやりと笑った。




