3話 ---宝飴提供---
シフォンケーキも粗方食されたころ、
あれは! フィロルウェインとファルシオンではないかや。
二人して小さなワゴンを押してテケテケと歩いてくるではありませぬか。
そのかわいらしき姿に、皆の物がホッコリしておる。
おー。飴が間に合ったかや。しかし布がかぶせてあり中が解りませんねぇ。
フィロルウェインから[紹介しろ]という目くばせ。
癪ではあるが仕方ありませんねぇ。
「知っている者も居ようがこの者たちが、我がルーフィン家の長男フィロルウェイン、と次男ファルシオンじゃ。」
「ご紹介にあずかりました、フィロルウェイン=ルーフィンと」
「ふぁるしおん=るーふぃんです。」
「このたびは当家のお茶会にご参加いただきありがとうございます。」
「ございます。」
「これがあのファルシオン様ですか?」
「なんと御行儀よくなられて」
「このような立派な貴公子を二人も抱えられておれば、ルーフィン家も安心ですわね。」
ファルシオンの株が一気に上がったぞよ。
こちらに出向いたのはこれが目的かや?。
「前回、べっこう飴をあの量しか提供できず申し訳ありませんでした。」
こやつ、何をいいだすのかや?
「今回、べっこう飴を入手するにあたり、義母上はもっと素敵なものが無いか探されました。」
そんなことしていないナイナイ。
「結果、入手できたのがこの『ジュエリーキャンディー』です」
布が取られるとそこには色とりどり様々な飴が。
「なんと綺麗な」
「これは?宝石?」
「こんなお菓子、初めて見ましたゎ」
ウン。ワタシモ、ハジメテ、ミタ。
あれは…フィロルウェインの専属達かや?
皿に取り分ける者
踏み台を移動する者
お子達は、その踏み台を登って貴婦人方へ皿を配っていく。
小さな貴公子に皿を渡され皆がホッコリしておる。
妾にはバーバラーヤが渡してくれる。
ワタシニモ貴公子ヨコシテー!
「今回も完敗ですゎ。こんなお茶会を開かれてしまいますと、私共の開くお茶会など、恥ずかしくなってしまします。」
とバッヘン侯爵夫人
「こうなってくると次回はどんな趣向を凝らしてくれるのかと期待してしまいますね。」
ギャー!ハードル上げないで―!
「特別ですわぁ。今回は新しき物が2つも手にはいいたので趣向を凝らしたまでの事。そんな毎回毎回できませんわぁ。」
危ない危ない。ここで見栄を張ってしまうとドツボにはまってしまいます。謙虚に。謙虚に。
「それでは、もうしばらくお茶会をお楽しみ下さい。申し訳ありませんが私共は別の準備がありますので失礼します。」
「しつれいします。」
あのものたちは去って言った。
なんと申しておった?
別の準備?
まだ何かあるのかや?
アヤツは妾を心労で殺す気ですか。
「『別の準備』とは何ですの?」
ワタシモシランワー!!!
「秘密ですゎ。後でのお・た・の・し・み。ですゎ。」




