2話 ---茶会当日---
「「「「「お茶会へのお招き。ありがとうございます。ルーフィン公爵夫人。」」」」」
飴がまだ来ぬ。本当に間に合うのかや?
「この前のべっこう飴。おいしゅうございました。今回もご用意していただけてるんですよねぇ」
バッヘン侯爵夫人め、先制攻撃ですか。
まだ用意出来ていないことを悟られてはいけません。
焦りを顔に出さぬようにし、どう切り替えそうか逡巡していると、先日嗅いだ馨しき香りが…
ワゴンに乗せられて来る茶色き物と白き物。それを運ぶはバーバラーヤかや?。
「そう焦らずともよいではありませぬか。まずは新作の茶菓子を楽しんで下さいまし」
フィロルウェインめ、頼みもせぬのに『シフォンケーキ』を用意してくるとは。
それは助かったのだが、しかし飴がまだ来ぬ。間に合うかや。
「まあ、こちらは黄色。こちらはピンク。橙に緑。なんてきれいな。」
「それにそれぞれ香りが違いますこと。これは何ですの?」
わーそんなの私知らナ~イ。こんな色とりどりハジメテミタ~!エ~ン、どうしようドウシヨウ。
内心焦りながらも、笑顔を貼り付け
「シフォンケーキというものですゎ。色香の違いまで言ってしまうのも無粋というもの。ぜひ食してみて当ててみてくださいましな」
なんとかとりつくろえた妾、エライ!
バーバラーヤが近づいてきて、そっと耳打ちしてくる。
「こちらをお読みください」とカンペ渡された。
周りに気づかれないように読む。
[黄色は混ぜ物なしのプレーンタイプ。ピンクはミチゴ。橙はポレンジ。緑はカールを混ぜ込んでいます。飴は頃合いをみてお持ちします。(フィロ)]
助かりはしましたが、心の臓に悪いですゎ。
ミチゴは苺、ポレンジは蜜柑に似た果物。カールは法蓮草に似た野菜です。




