4話 ---卵泡焼菓---
「いただきます」
「いただきまぁす」
「いただきますゎ」
「うむ」
落ち着いてもらうために、先にお茶にすることにした。
…
…
…
「ナニこのフワフワのシュワシュワ!身も心も蕩けてしまぅ~!それにこの白いのもフワフワでまったり~!」
最近、義母が[壊れる]という噂を聞くが、これがそうか。
余計に興奮させてしまったか?
「コホン。フィロルウェインや。これは何というデザートじゃ?」
さっきのはなかったことにしたいらしい。
「母上、『シフォンケーキのホィップクリーム添え』といいます。」
茶菓子は先日、試作に成功したシフォンケーキに乳のクリームをホイップしたものを添えてある。
ホイッパー様々である。
「そのレシピ。妾に譲ってはくれぬか?」
これは想定していたことだ。
「いいですよ。しかし今回のレシピには専用の道具と『馴れ』が必要となります。」
温度調整に僕は自分の『眼』を使ったが、何度か試作する内、ガーリィが炎の状態で調整できるようになっていた。
ラーヤやイリスに至っては、内部水分感知で調整できていた。こればかりはレシピに書けない。
「料理人が『馴れ』るまで時間がかかる事。専用道具はお渡ししますが改良があれば教えていただくこと。これらを了承していただけるなら、レシピをお渡ししましょう。」
「本当かや?今から楽しみじゃ。」
「いいですか?さっきも言いましたが、『馴れ』るまで何度か失敗することを覚悟しておいてください。決して料理人をせかさないように。」
「解っておる。妾はそんなに『暴君』ではないわ」
しっかり釘を刺しとかないと。
『無茶ぶり⇒失敗した、料理人がクビ』なんて聞いた日にゃ寝覚めが悪い。




