1話 ---父上急襲---
「ようこそいらしてくださいました。アマリアーヌ義母上様」
「元気そうで何よりじゃ。フィロルウェイン。」
「ヒロにぃ。きょうもえほん、よんでぇ。」
あれから何度かハルに絵本を読んであげたところ、かなり発音がしっかりとなってきた。
[何この成長っぷり]と思わないではないが、元々[できる子]だったのだろう。
我が儘放題だったのが、あの日以来、よく言うことを聞くようになったのだとか。
噂では
「そんなんではフィロルウェイン様が絵本読んでくれませんよ。」
「それはヤダ。」
というやり取りがあったとか…
僕を出汁にしても灰汁しか出ませんよ。
今日は義母上も同行してきた。
それもあって、今日は趣向を凝らしてみた。
ドコデモドア兄弟にしかできない事なので楽しんでいってもらおう。
「ハル。今日は義母上もおられるので絵本より前に、こちらを見ていただこう。」
「きょうも何かするの?たのしみぃ~」
いつも来るたびに、寸劇や新しい遊びやらを教えているのでハルは早速ワクワクしている。
「なんぞ始まるのかぇ?」
今回は、侍従長に頼んでお抱え大工さんに出張ってもらい、部屋に小舞台を作ってもらった。
とそこへ
「フィロルウェインは居るか?」
と父が駆け込んできた。
いくら息子の部屋とはいえ、アポも無しに駆け込んでくるなどマナー違反ですよ。父上。
まぁ、いいですけど。
「執事長から聞いたぞ。お前が何か大きなことを企んでいると」
企んでいるなんて人聞きの悪い。
侍従長を通じて部屋改修許可は取ったつもりなんだが…
何が悪かったのだろうか?
「なぜ、儂には声をかけなかった?」
…
単なる仲間外れのひがみだった。




