3話 ---新劇提案---
「「ようこそおいで下さいました。フィロルウェイン様、ファルシオン様。」」
一通り市を見た後、ブローディア劇場に来たのだった。
「出迎えありがとうございます。あっ紹介します。こちらは新しく友達になったドゥーブル子爵家のヨルーク兄さまです。ヨルーク兄さま。こちらはこの劇場のオーナーのブロード=ブローディアさんとキャスリン=キャスフィールドさんです。」
「ヨルーク=ドゥーブルといいます。よろしくおねがいします。」
「お初にお目にかかります。私、当劇場のオーナーを務めております。ブロード=ブローディアと申します。」
「お初にお目にかかります。私、同じく当劇場のオーナーを務めております。キャスリン=キャスフィールドと申します。さあどうぞ、中へお入りください。」
いつもの会議室にて
「今回、提案するのは『ルルーシュ殿下捕り物帖』です。」
「それは…今年初めの事件が題材ですか。」
「そうですが、あくまでフィクションとして扱ってください。」
「わかりました。」
「それでは資料を読ませていただきますわ。」
…
「…いいですわね。この悪役貴族も自らの義を貫くがための王国への裏切り。それを知った息子は王に直談判『私の命など惜しくない。せめて王の手で父に引導を』なんて。この時の心情をどう表現させようかしら?」
「ふむ…この、殿下が敵に見栄を切るシーン。ほかの題材でも使いたいですね。」
「ブロードさん。そのシーン、ボクできるよ。」
「ファルシオン様。お願いできますか?」
「では僕は悪役をやります。ハル、舞台に上がって。」
「オッケー」
この会議室で打ち合わせをするようになってからこの部屋には簡易舞台(というより教壇)が設置されている。
「ワハハハハハ」
「どこから声が…あっあそこだ」
「人との絆をたいせつに思うその心。人それを義と言う。」
「誰だ貴様は?!」
「ワレの顔を見わすれたか?」
「…ルルーシュ殿下!」
「義をつらぬこうとするそなたは立派である。しかしその行為が王国にアダナスものならば捨てはおけぬ。」
「ええい!相手は一人だ。皆の者!あ奴をやってしまえぃ!」
「なぜにワレが一人だとおもうておる? 4大騎士団、あらわれよ!…ひっとらぇい!」
ハルはうまく『ルル兄感』出してたな。上出来、上出来。
「ありがとうございました。ファルシオン様。」
「フィロルウェイン様も悪役声。お上手でしたわ。」
「『悪役声』をほめられるのは複雑な気持ちになりますが、まあこんな感じです。これは一つの例ですから、面白いと思われる案があればどんどん取り入れていってください。頼みますよ。」
「「はい、お任せください、フィロルウェイン様。」」




