9話 ---詠唱常識---
皆の「…………」は詠唱を口ずさんでいたのだ。
ベティの場合は無詠唱だが、体内操作なので身体強化の一つとみなされている。
寒く乾燥した日に[ビリッ!]と来たのをきっかけに、意識してその[ビリッ!]をコントロールできるようになったとの事だ。
今の魔法の常識は『詠唱+魔法名で発動』ということだ。
・詠唱で魔法をイメージし 魔力を集め
・魔法名をトリガーにして魔力を魔法へ変換する。
詠唱破棄『魔法名で発動』はこれらを、魔法名のみで一気に行う。
詠唱を繰り返すうちに『詠唱短縮』⇒『詠唱破棄』ができるようになるそうだ。
それならばそのまま続けていれば『詠唱破棄』⇒『無詠唱』となりそうだが、
「必ず魔法名は口にすること。そうしないと『神』はその魔法をお認めにはなりません」という教会談
その談が正しければ『無詠唱魔法』は『神』に認められていない魔法ということになる。
最悪、異端扱いだ。
ラーヤが厳しく言うのが解る。
「チリ~ン」
鈴が鳴る。
ケーキが焼けたようだ。
取り出してもらうと、表面にちょっと焦げがあるが、上出来だ。
型から取り出し藤の台に置き、ミニ蚊帳をかぶせておく。
「おやつ時まで冷ますので手を出さないように。皆さん、後片付けをお願いします。」




