8話 ---光塊実験---
「皆さん、ちょっとこの手を見てください。」
ちょっとした実験だ。
皆の魔法を見て、自分もやってみたくなったのだ。
いつもの光塊を手のひらから出してみる。
「何か見えますか?」
皆は
「見えません」
「何も」
「ナニナニ、なんかあるの?」
なるほど、この光塊は僕だけに見えているのか。
「もしかして…魔力ですか?」
ラーヤだけは何か感じ取っているようだ。
ここでこの光塊に指向(思考)を与える。『光れ』と。
「ヒロ様の手から光が。」
「まぶしい」
「アワワワワワ」慌て方が姉にそっくりですね、イリス。
次に波長を変えてみる。
「あっ、赤く」
…
「えっ、青」
…
「緑」
…
「ヒロ様は『光』属性だったのですね。でも、まだ洗礼も受けてらっしゃらないのになぜ?」
悲しそうな顔をしないで。ラーヤ。
「洗礼云々は別にして、属性が確定したから僕は健康体になれたと考えていますよ。それよりもなぜ『光』属性が蔑まれているのですか?」
「それは教会から『光魔法は神聖魔法と似て非なるものなり』とお触れが出ています。そこから『光魔法は神聖魔法のまがい物』という風潮がまかり通っています。」
ここでまた教会(神)がでてきたか。
「皆さんは僕の属性が解り蔑みますか?」
少し意地悪な質問をしてみる。
「とんでもございません。私共はヒロ様の専属であり、主がどのような方かを存じております。『ヒロ様』は『ヒロ様』です。」
嬉しいことを言ってくれる。
「ただ、周りにはお隠しになってください。属性だけでなく先ほどの『無詠唱』についても」
「えっ?」
僕(まずい事)やっちゃった?
「魔法は通常『詠唱+魔法名』で発動します。他の皆がしていたのがそうですね。私やイリスのしていたのが『詠唱破棄』で魔法名のみで発動させます。」
初級とはいえ『詠唱破棄』ができるということは、イリス。魔法に関しては優秀?
「ガーリィの『チャッカ』は『詠唱破棄』に見えますが動作が詠唱の代わりをしているようですね。」
かっこいいからOKです。
「詠唱も魔法名も無しに発動する手順を『無詠唱』と言いますが、今までにできた者がおりません。」
できた者がいないのに『無詠唱』という言葉は存在するのか。
古文書なんかに書いてあったんだろうか?
試してみたができなかった、と。
「ヒロ様のなされた『ライト』は『無詠唱』。ましてや途中で色まで変えるなど、私の知る限りではそのような魔法は存在しません。皆もヒロ様の魔法については他言無用。徹底してください。」
「「「「「「はい!」」」」」」
魔力を光に変換できるのは解ったが『やっちまった』ようです。




