6話 ---御忍英雄---
うむ、ヒロに聞いていた『鼓』なるものの準備は出来ておるな。
変わった構造の太鼓だが軽快な音を奏でよるので趣があってよい。
なに? もうじきアクダイが到着するとな。
よし皆の者、配置につけ。
「なぜだ。先に運ぶように言っておいた財が無いではないか。」
馬車塚に到着したアクダイの怒声が響く。
<ポポポポ、ポン>
そこに鼓の音が奏でられ、同時に塚中央に向けてスポットライトがあてられる。
「なんだっ!」
そこに映し出されるのは、薄衣を纏ったオーガの面の男。
「ひとぉつ。人の世の生き血をすすり。ふたぁつ。ふらちな…」
「怪しいやつ。あ奴が何か知っているかもしれん。ひっとらえろ!」
せっかくヒロから教えてもらったかっこいい登場をしたのにの。
セリフを遮られては台無しであるな。
仕方がないプランBに変更である。
「アクダイ候。我の顔見忘れたか。」
面を取って見栄を切るが、
「お前のような奴など知らぬ!いいからひっとらえろ!」
我の顔は成人式の際に見られているはずではあるが。
こうなると最終プランを実行するしか無くなるな。
仕方がない。
「スケさんや。カクさんや。懲らしめてやんなさい。」
「「「「「「「「「「ハハッ!」」」」」」」」」」
我の声に、各公爵家騎士団は一斉に蜂起した。
 




