10話 ---他騎士団---
「軽食と言って居ったが、これはこれで立派な料理ではないか。」
「1椀の中に肉、野菜、それに『麵』というものか?それが味が洗練された温かいスープの中に入っています。」
「この寒い中、腹に染み入ります。これがお湯をかけるだけでできるなどと。これは『魔法の椀』ですか?」
「これは、ルーフィン騎士団の非常食、行軍食だそうです。」
「うむ、それに比べて我が団の行軍食のお粗末なことか。」
「野獣と野草を塩で煮込んだだけですからね。あと、酸っぱくて固いパン。」
「あの時…、この暖かくて柔らかいこの『麵』があれば、もう少しまともな戦闘ができたものを…」
「団長。この『カップ麺』の導入を、御当主様に頼んでみましょう。」
「うむ。かの騎士団の強さの秘密。『無敗将軍が率いている』のみではないということか。頼んで見る価値はあるな。」
「しかし、新年早々の任務ってただの玉遊びですか。」
「『遊び』と言っているが結構真剣にやっていたではないか。」
「『やるからには真剣に』がモットーですから。」
「その心意気は立派だな。実はまだ続きの任務がある。詳しい内容は屋敷に戻ってからだ。今は…ルーフィン騎士団の強さの秘密を食べ尽くそうではないか。」
「はい! あっ団長!あちらで『ヤキオニギリ』なるものがふるまわれるそうです。」
「聞いたことのない料理だな。よし、食べてみよう。」




