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8話 ---兄弟裏話---
「ヒロ兄。ボクじょうずにおせじ言えてた?」
「うん、完璧だよ。よく、僕が伝えた言葉がそのまま言えたね。」
《イヤーウィスパー》で伝わる言葉をリアルタイムに発するなんて芸当、少年探偵のボイチェン声パクする某博士よりすごいんじゃないかな?
「ボクもお姉さまをほめることばをじぶんで言えるようになりなりたい。ヒロ兄、教えて。」
「いいよ。ラーヤ。ちょっと来て。」
「何でしょう、ヒロ様。」
「ラーヤはいつも凛としていて奇麗だな。」
「…そんな♡ヒロ様♡」
「こういう風に相手が喜んでくれるような言葉が基本だよ。でも同じ言葉ばかりじゃ駄目。時には詩的な表現も必要だよ。」
「むずかしいな。」
「練習あるのみだよ。相手は…義母上だとハルの言葉は無条件で喜びそうだし…侍女は…勘違いされても困るし…僕の専属相手に練習するといい。」
「うん、わかった。じゃあ、アリス。相手をお願い。」
「畏まりました。ハル様」
ラーヤはトリップしたまましばらく帰ってきませんでした。




