9話 ---除夜鐘鳴---
<ギンゴーン>
大鐘楼の鐘が鳴ります。
今年はハルも起きています。
(多少、船をこいでいますが。)
皆、手に手にグラスを持っている。
ハルの手には、グラスの中がこぼれないよう、侍女が手を添えてくれています。
「ここに居る皆の者と年の終わりを迎えられることを嬉しく思う。」
父の口上が始まる。
<ギンゴーン>
「今年は領内で久方ぶりに真珠が採れた。」
<ギンゴーン>
「それで陛下よりお褒めの言葉がいただけた。」
<ギンゴーン>
「他の公爵家との関係も密になったと思う。」
<ギンゴーン>
「フィロルウェインとファルシオンはローザント老より馬を贈っていただけた。これは非常に喜ばしい事である。」
<ギンゴーン>
「来年も様々な事が起きる…いや、我が子たちは起こすであろう。」
いや、ちょっと父上。それはひどくないですか。
<ギンゴーン>
「それが我が子の成長の証ならそれは喜ぶことである。」
そうまとめますか。
<ギンゴーン>
「それとともに歩むのが家族の絆であり、皆との絆であろう。」
<ギンゴーン>
「古き年よさようなら。」
<ギンゴーン>
「そして、新年おめでとう。」
「「「「「「「「「カンパーイ」」」」」」」」」」
…駄目だ…ハル、寝ちゃってる。




