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7話 ---噴水待合---
「お待たせしてしまったかな。」
「いいえ、私も今来たばかりで。」
「いつもと違い可憐な恰好で驚きました。その姿もよくお似合いですね。」
あの後、抵抗する間もなく着替えさせられ化粧されて、あっという間に馬車の上。
よく、皆に見つからず連れ出されたものです。
しかし何故でしょう、この侍女たちの前では、なぜか抵抗出来ません。
どのような猛獣、戦士に対しても臆する事が無かった私が、です。
で、御者はマー君。お前もグルか!
噴水前で降ろされ。
「ルミ姉様。ご健闘をお祈りしています。」
剣があれば切り付けている所です。
しかし、
騎士服もなく、剣もない。
ほんの数分…
待っている間、それがどれほど心細かった事でしょうか。
「ルミ嬢、では参りましょうか。」
出された手に思わず抱き着いてしまった。
「ルミ嬢?」
この腕をつかんでいると安心する。
「オルソン様。今日はよろしくお願いします。」
今、一生で一番のとびっきりの笑顔していると私は思う。
「ラーヤ様の『静かなる威圧』。アリスが一番上手。」
「そんな。ガーリィ先輩も一緒にいてくれたから出来たんですよ。」




