13話 ---手合後談---
「いやぁ実に美しい。思わず見惚れて対応が遅れる所でした。」
えっ?
「そんな、美しいだなんて…」
今まで剣の強さを褒められることは有っても、『美しい』だなんてそんな…
「出来れば今後ともお付き合いできると嬉しいのですが。」
えっえっえっ!?
私。口説かれてるの?!
わわわ、それより!返事!返事!
「はっ……はい。ぜひに。」
「ありがとうございます。」
今まで私に縁談話が無かったわけではありませんが、持ち込まれる釣書は軟弱な相手ばかり。
余りにもうんざりな話ばかりに、
「私より弱い男の話は持ってくるな!」
と怒鳴ってしまう始末。
諦めていたわけではありませんが、私より強い男はそうそういません。
「オルソ~ン♡こっちの子も♧相手してあげて♢」
「解った。今行く。」
そうです!
親密になるには、まずは名前呼び、愛称呼びです。
でもどう切り出せば…
え~い!女は度胸!
思い切って
「ダーグレン卿…今後『オルソン様』とお呼びしてよろしいでしょうか。」
よく言った!私!
「よろしいですよ。『…卿』付けなんてガラではないので、名前呼びしていただいた方がしっくりします。」
「ありがとうございますオルソン様。それでした私の事は…」
そうだった。今まで名前呼びされたことは有っても、自分の愛称って…何だっけ?
そうだ!
「先ほどフィロルウェイン殿よりいただいた『ルミ』とお呼びください。」
愛称をくれた弟弟子に感謝です。
「わかりましたルミ嬢。それでは失礼します。マーケリー。ルミ嬢に相手してもらいなさい。」
『ルミ嬢』だなんて。
「ラウト卿。マーケリー=ウェドゥネスといいます。手合わせよろしくお願いします。」
女の子扱いなんて何年ぶりかしら。
「ラウト卿?」
でも、次に会うためにはどうしたらいいのでしょう。
初めての事で頭が追い付きません。
「どうかなされました?ラウト卿?」
ハッ!
そうです、今は『団』との交流最中でした。
「失礼。先ほどの剣戟を思い返していたのです。」
「すごい剣戟でしたからね。勉強になりました。」
口から出まかせでしたが、納得してもらえたようです。
「ではウェドゥネス卿。いきますよ。」
「お願いします。ラウト卿」




