12話 ---VS剛剣---
おじいさんに言われたように、別の者と相対してみよう。
当団に剛剣使いは居ない。
いい機会だ。
「エドルーゼ。この中で『剛の剣』の者はだれであろうか?」
「それでしたら、副団長のオルソン=ダーグレン卿ですね。あそこにおられる赤髪の偉丈夫の方です。」
本来なら『剛剣』と『速剣』なら『速剣』に分があると言われるが、閣下の騎士団だ。
何らかの対処策を持っている事は十分に考えられる。
それに副団長なら実質、団のNo.2だ。
そんな者との対戦からは何か得るものがあるであろう。
『偉丈夫』とは言っているが、それほど大男でもない。
しかしその風体は『団を背負うもの』という雰囲気を醸し出している。
「ダーグレン卿。少しよろしいでしょうか。」
「ラウト卿。なんでしょう?」
「ダーグレン卿はこの騎士団一の剛剣使いとお聞きしている。一つ手合わせをお願いしたい。」
「…いいでしょう。あちらへ移動しましょう。」
応じてくれて助かります。
「マーケリー。立ち合いを頼めるか?」
「はい、副団長。」
「準備はよろしいですか?ラウト卿」
「はい。いつでもいいですよ。」
「では、イルミナス=ラウト対オルソン=ダーグレン。模擬戦…始め!」
さすがは団のNo.2だ。
一切の隙が無い。
隙を作ろうと速剣で攻めてみるが、対処されてしまう。
それはそうか、
毎日のようにおじいさんの剣を受けていれば、その対策は体にしみこまれている。
一見、打つ手がないように思えるのだが、なんだろう?
打ち込めば答えてくれる。
こちらの真剣を受け止めてくれる。
そんな剣だ。
…楽しい。
でもそれだけに、止め時が解らない。
何合、打ち合ったろうか?
急に相手の気が膨れ上がり
「フンッ!」<ガッキーン!>
剣を叩き落されてしまった。
これぞ!剛剣!
「…まいりました。」




