1話 ---御付侍女---
ただの侍女です。ちょい役なんで作者が名前を付けてくれませんでした。
今回のお仕事は、ファルシオン様の付き添いです。
ただの付き添いではありません。
このたびフィロルウェイン様の部屋を訪問されるというので、その様子を報告するようにアマリアーヌ様より申し付かっています。
(なんて厄介な…)
この部屋は主が3歳にも関わらず専属で固められています。(若干1名違うようですが)
フィロルウェイン様は噂にたがわらず、非常に聡明でした。
ただ、使用人みんなを名前で呼んでいるところが、違和感がありますね。
(自分なんか「おまえ」「おい」「…[無言]」でしか呼ばれたことがない)
フィロルウェイン様がファルシオン様に愛称で呼ぶ事を持ち掛けています。
フィロルウェイン様が聡明と言っても3歳児。子供同士の戯れはかわいいですね。
いきなりフィロルウェイン様が立ち上がりました。そしたら、侍従、侍女も勝手に動き出しました。
主の許しもなく動くなど誠に不敬です。即刻首です。
……?…寸劇?
フィロルウェイン様がファルシオン様を楽しませようとサプライズを企画していたようです。
フィロルウェイン様って聡明でなく変わり者?
いえいえ、そういう考え事こそ不敬です。
何があったか報告することがお役目です。
ファルシオン様が駄々をこねだしました。こうなると誰にも止められません。
が、フィロルウェイン様はデザートで駄々を止めました。
やはり甘味は正義です。
昨日、「フィロルウェイン様の新しいデザート」を噂では聞きましたがこれがそうですか。
ファルシオン様が真剣になっています。あっ失敗。また失敗。[プルン]
えっ? 私もするんですか。[プルン]
えっ? 私もここで食べるの? そんな不敬なことできません。
「ファルシオン様がどのような物をお食べになったか報告の義務があるのでは?」
バーバラーヤ様に言われてしまった。お役目ばれてる?
バーバラーヤ様も同席する。フィロルウェイン様の許可がある。ということでしぶしぶ納得(出来かねるのですが)
これも「お役目」です。
………!!!
なんと形容していいのやら。
この甘味、どうアマリアーヌ様に報告いたしましょう。言葉がありません。
ファルシオン様がまた駄々をこねだしました。
確かにこの甘味。
私も『侍女矜持』をほっぽり出したくなります。
今度はアマリアーヌ様のお名前を持ち出し説得を始めました。
ファルシオン様が折れたようです。
フィロルウェイン様って3歳にしてどこまで聡明なのでございましょうか。
今回の訪問で、ファルシオン様はずいぶんと、フィロルウェイン様になつかれたようです。
ファルシオン様の昼寝時間のためお開きとなりました。
驚くことが多く、疲れるお役目でしたが、あの甘味が食べられるなら、このお役目も悪くありませんね。
え?アマリアーヌ様にあの甘味を?
ひーふーみーよー…6個ある。
一つパチってもばれないよね。
え?
ダメ?




