11話 ---子嬢観劇---
「ル~ゼちゃん。4日ぶり。」
「アリスちゃんの令嬢姿もひさしぶりだよ。」
ルゼ姉は年末から鍛錬には来ていない。年末はどことも忙しいのだ。
「ひろにぃ。なにがはじまるの?」
「エイル。このまえ、ボクとヒロ兄が『きょうだいきし』演ってみせただろう。」
「うん、はるにぃ。あれ、すごかった。」
「あれの、もーとすごいのを演るんだよ。」
「あれよりすごいのってどんなだろう。ワクワク。」
<トントン>
ノック音に[どなたでしょう]とラーヤが対応しようとするが、
「ラーヤ開けないで下さい。本来この場には居ないはずの人ですから、対応しなくて結構です。」
「えっ?それって?」
「おばけ?」
お子様が怖がっている。
<トントン>
「ひー!」
「こわいよー!」
<トントン>
「やー!」
「たすけてー!」
<ドン!>
「ヒロー!我を無視するでない!返事がないと悲しくなるではないか。」
護衛騎士になりきってましたね。
でも僕の眼はごまかせませんよ。
いや、魔視力使わなくても、騎士団員の顔は全員覚えていますから。
父も知ってて黙ってくれていたんだな。
師匠も人が悪い。
「ルル兄。本当なら今頃、王城にいるはずでしょう。また抜け出してきたんですか?」
「ヒロ達だけ観劇など、ずるいぞ。」
駄々っ子かっ!
「今頃、王城。それもルル兄御付きの人がパニックですよ。」
「そこは大丈夫である。『ヒロの所に出かける』と書置きしておいたから。」
お子様かっ!
「この書置きだけで安心されるのだ。『ルーフィン家なら安心ですね。しょうががありませんね。』と」
信頼されているのか?あきれられているのか?
「それに4日もルゼに会えなかったのだ。…そこは…察しろ。」
「ルル様」<ぽっ♡>
バカップルか?




