12話 ---秘密厳守---
妹はイリスフェン。あとの二人はベーテルーイ、ガーベリィという。
「後で、父に専属許可を貰います。専属になった後はもちろんですが、ここで見聞き、味わった事は他言無用に願います。」
『専属』を餌にしっかり口止めしておこう。
専属になると『専属手当』が付くので給金が上がる。他が忙しい時でも駆り出されることが少なくなる。よって専属になりたがる使用人は多い。
しかし自分から『専属にしてくれ』等と言おうものなら不敬罪で即刻首(物理的に)である。
今回は無礼講ということで発言を許した事。自分ではなく縁者推薦の形だったのでギリギリセーフということで納得してもらおう。(誰に?)
「侍女仲間で『あんな美味しい物食べた』等と自慢しないように。なにがあったか上役から追及があっても『口止めされております。詳しくはフィロルウェイン様にお聞きください』と誤魔化してください。」
釘をさしておく。
「これが守れないようでしたら専属の話は無かった事になります。」
…皆の顔が青ざめた。
…
「守ってもらえれば」
…
「「「「ゴクリ」」」」
…
「明日のオヤツはプリンです。」
控室は喜声に包まれた。
実を言うと、専属は『おいしい』だけではない。逆に主が無謀無茶だとそれに付き合う羽目になるし、休みもなかなか取れない。そのための『専属手当』なのである。
皆さん、僕の『わがまま』に付き合ってもらいますよ。




