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オプティカルマジック  作者: 愉魅夢
公爵領へ向けて(おばあちゃんに会いに行こう)
222/613

4話 ---車上修練---

「ハル。僕はもう大丈夫だ。次の馬車塚までやるか?」

「いいよ」



屋敷を出る際に師匠から課題を出されている。「1日1時間は鍛錬する事」と。

しかし馬車旅中、そんな時間は取れない。


最初は『馬車塚間走り込み』を考えたが、義母上に速攻で拒否された。

「子供に外を走らせて、自分は馬車の中だなんて、どんな噂立てられるか分かったものじゃありませんわ!」

との事。

うん、確かに外聞上、良くない。


で、とった対応が、馬車の天井を平らに、そして丈夫にしてもらう事だ。

そうすれば、幼児二人分の剣を振るうスペースはできる。

僕自身は型稽古出来れば良いと思っていたのだが、ハルは模擬戦をやりたがった。

「無理だよ。」と言ったのだが、珍しく「やりたい」と駄々をこねた。

仕方がない。付き合ってあげますか。


「ハル。僕はここから動かないから打ち込んでおいで。」


一種の縛りプレーだ。

左足を軸に動作を制限する。

別に、ロープや鞭を使うわけではない。


足元には鉄板を仕込んでもらっているので、左足裏に黄魔力を纏わせ接合する。

そして中腰に構え、馬車からの振動を腰から下で緩衝する。

しかしこれは足腰に来るな。


こんな足元だと必然的に、

「ヒロ兄、いくょワッタタタタ」

コケる。


ただでさえ不規則振動な床でまともに踏み込めるわけがない。


「ハル。解ったかい。模擬戦が無理だと言っていた理由が。

立っているだけでもきついのに、こんな場所では戦うこと自身、無理だろう。」


師匠ならできるだろうけど。


「まずは安定して立つことから始めよう。大地に根を張る金の世界樹を思い浮べて。」


今、ハルの立っている足元にも鉄板が仕込んである。

ハルは土と火の身体強化術ならイメージさせるだけで何とか出来てしまう。

ウル姉さんエル姉さん以外の土属性団員だと中々イメージ通りの魔力制御が出来ないのだ。


「良い調子だ。そのままじゃ頭がかなり揺れるだろ。中腰になって頭が揺れないように足腰で調整するんだ。」

「ヒロ兄。キツイ。」

「そこは筋力強化術を使うんだよ。足の裏から金の根っこ。そこから上は揺らめく炎のように柔軟に。」


うちの義弟おとうとマジ天才。このイメージだけで出来ちゃってる。


僕は型稽古だ。まず一の型は…



「ヒロ兄。ひま~~」

「ハルも素振りか型稽古すればいいだろ。」

「つまんない~。」


天才かと思えばこういったところは三歳児か。


「じゃあ僕が型稽古しているところに打ち込んで来ればいい。」


型の切り替え練習になってちょうどいい。


「じゃあ行くよ。えい!」


一の型の途中から三の型へ〈キン!〉


「えい!」


三の型から流れるように二の型へ〈キン!〉


「えぃトトトトトトト」

ハルの足元の黄色魔力が途切れて倒れかけた。


「ハル。足元の集中を切らしたらいけないよ。」

「でもこれ、むすかしい~」

「さっき『ヒロ兄、だらしな~い。』なんて言ってたのはどこの誰だったかな? 『ハル。だらしいな~い。』って言われたくなければとにかく頑張れ。さもないと」

「さもないと?」

「帰ったら師匠の『地獄の肉体クッキング 特別メニュー』へご招待だ!」

「それだけはヤダー!」


『特別メニュー』がよほど嫌なのか、その後は、僕の教える型稽古に従った。

「『特別メニュー』ってそんなにキツイかな?」

「そんな事言えるのはヌシぐらいじゃろうて」

「師匠もキツイって判ってたんだ。」

「儂の用意するメニューを次々にこなしよってからに。ヌシは規格外よのう。」

「あの~。師匠にはいまだに勝てないんですけどね。」

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