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9話 ---事情告白---
「ルゼ嬢、待たせてしまったかな?」
「い、いえ、殿下。お気になさらずに。」
「今日の姿は一段と美しいな。シンプルであるが品がある。これは?」
「アマリ御姉様より頂いたドレスです。」
「そうであるか。ルーフィン公爵夫人には問い質さねばならぬな。『花をさらに美しく見せる衣装なぞどこで手に入れた』と」
「そんな。『花』だなんて…。」
「実を言うと、先日、其方と会ってから、其方の姿が頭から離れぬ。今日再び出会えてさらに焼き付いてしまった。本当はすぐにでも会いに行きたかったのだが、ヒロに諭されてしまっての、我慢しておったのだ。」
「そんな。私には過分なお言葉でございます。」
「まだ成人前なれど、生涯の伴侶となるべく我と付き合ってくれぬか?」
「それはできません。殿下。」
「なぜだ。何か問題があるのか。そんなもの我が……。ヒロに叱られてしまうな、そんなことを言っていると…。何か事情があるのであろう。遠慮なく申せ。」
「実は私、先日まで『男』として育てられていたのでございます。」




