6話 ---未来案件---
「結果的にアリスの夢の実現を妨害した形になります。これは『アリス達とまだ一緒に居たい』という僕のエゴによるものです。もし、アリスが望むなら今からでもルーシフェル殿下に取り成しますが。」
「お気遣いありがとうございます。確かに『いつか王子様が』を夢見ますが、それはルーシフェル殿下ではありません。
それに今はこの部屋が好きなのです。
ラーヤ様には負けるかもしれませんがヒロ様が大好きなのです。
この気持ちは、先輩や侍従君達、妹達、みんな一緒だと思っています。
ですからいつまでも私たちの主でいてください。ヒロ様」
「それでは、いつまでも皆の良き主でいられるように精進しないといけませんね。」
「でも、アリス。本気の恋をしたら素直に言いなさい。全力で応援しますから。」
…
「不敬を承知でお聞きします。それは…ヒロ様相手でも。ですか?」
「えっ?」
…
…
「ソレハドウイウコトカナ?」
「今は、ヒロ様の事、『主として大好き』なんですけど、大人になったヒロ様を想像すると、その時にはスキの意味が変わっていないかな~って…」
ハハハッ!モテルオトコハ、ツライネ。
どうしよう。『俺』、告白された経験なんてないよ。
いや、これは未確定事項だ。うん。未来の僕に丸投げしよう。
「そうなった時にはその時の僕に告げてください。まだ先は長いのです。未確定の事を悩んでも仕方ありません。」
「はい。でも…」
「僕が僕である限り、皆を不幸にするようなことはしていないはずです。アリスの中で、大人になった僕は不誠実な奴でしたか?」
「いえ、立派なお方でした。」
「ならばそうなるように僕は努力しなければなりません。アリス、手伝ってくださいね♡」
「はい。ヒロ様♡」
「ヒロ様。令嬢仲間から、ヒロ様の関係を聞かれて困ってます。」
「『姉弟』『兄妹』のような関係でどうでしょう。まだ幼いんで恋愛感情は判らないけどお互いに大切な関係。ということで」
「追及は止まりましたが、ヒロ様の事を話すたびに皆、キャーキャー言います。何故でしょう?」
「どんな事を話しているのです?」
「ヒロ様の鍛錬に付き添い、鍛錬を見学している事。
鍛錬休憩時にお茶を手渡ししている事。
変わった食べ物やお菓子を貰って一緒に食べている事。
リンスを贈って貰った事。
等々ですね。
…
ヒロ様の侍女としては当たり前の事なんですが…。
なんででしょうか?」
この娘、天然?




