12話 ---薄本案件---
「義母上。[続き]お願いします。」
あっそうでした。王族への挨拶ですね。驚きのあまり忘れるところでした。
「ルーシフェル殿下。こちらにおいでいただきありがとうございます。皆の者より挨拶させたいと思いますがよろしいでしょうか。」
「よろしく頼む。其方はルーフィン公爵夫人であったな。」
「ルーフィン公爵家アマリアーヌ=ルーフィンです。憶えていていただき光栄に存じます。殿下。
アリス。こちらへ。
この者、私の縁者のアリスルートにございます。」
「ア、アリスルート=レインと申します。こ、このたびはお会いできて光栄に存じます。」
王族への対応は教えていませんでしたが、まずまずですね。
[このちょっとつっかえる感じがたまりませんわ~]
「ルーフィン公爵夫人に負けず劣らず美しいのう。ぜh…」
「で~ん~か~~(怒)」
フフフ!フィロルウェインや!何をにらんでおる!ふふふ不敬ではないか!
「わかっておる。我だけに覇気を飛ばすなんぞ器用な事をしよって。なるほど。この娘が…」
「あの~、殿下?」
「愛されておるの。…下がってよいぞ。」
「は、はい。失礼します。」
「其方は…バッヘン侯爵夫人であったな。」
「バッヘン侯爵家エイリースル=バッヘンです。憶えていていただき光栄に存じます。殿下。この者、私の縁者のエドルーゼ=トイナにございます。」
「エドルーゼ=トイナ、と申します。このたびはお会いできて光栄に存じます。」
…
…
「…美しい…」
…
…
「殿下。殿下!…ルル兄!」
「はっ。済まぬ…。其方、普段はどのように呼ばれておる?」
「エ…、『ルゼ』、と呼ばれています。」
「うむ。よい呼び名だ。覚えておこう。下がってよいぞ」
えー!あの殿下の反応はぁ~~~!
妾のアリスちゃんが負けて悔しいけれど~~~!
妾のアリスちゃんが取られなくて嬉しいけれど~~~!
殿下の好みってペッタン娘さん~~~?!
でもあの娘って、あの娘って、ねぇ~~~!
もしかして、もしかして、もしかして…薄い本!売れちゃう~?!
[ヒロ様に一番愛されているのは私です。]
ラーヤ。心の声で対抗しないでください。
「ルル兄。よく御婦人方の家名覚えていましたね。」
「『美人の名前は忘れない』絶対の自身が、我にはある。」
「その調子で儀礼も覚えてください。」
「『儀礼を覚えようとすると眠くなる』絶対の自身が、我にはある。」




