3話 ---茶室準備---
「ではレイモン殿。殿下によろしくお伝えください。」
「解りました。」
「ヒロよ、何故に嘘を教えた? 今、茶会は西側のはずじゃぞ。」
「殿下の狙いはそのお茶会ですよ。せっかく義母上が楽しんでいるところを水を差されたくありませんし、それにアリスが見染められて強引にお手付きにされたくありませんから。」
「アリスはそれを望んでいるかもしれんぞ。」
「それでもです。師匠。ルーシフェル殿下の評判は?」
「あまり良くはないのう」
「でしょうね。主の品格は従者にも表れます。そんな者たちから自分の従者を守るのも主の務めです。」
「師匠。警備の者には不審者がいても捕えないように言ってください。ただし監視は続けるように。
ハルは僕の代わりに義母上の所へ行ってください。挨拶できますよね。カンペ渡しておきます。ベティ、ガーリィはそのサポートをお願いします。」
さあ忙しくなるよ。
「ラーヤ、至急、東側茶室へ例のお茶席の準備を。茶菓子は僕ら用に分けていたものを使います。皆さん、今日は我慢してくださいね。またとびっきりおいしものを用意しますから。」
「ヒロ様。お気になされないように。ヒロ様のお気持ちはよくわかっておりますから。皆さん急ぎますよ。」
「「「「「「はい!」」」」」」
[おねーちゃんを守るためだ。お菓子は我慢だ。でもやっぱり…食べたかったなあ。]
イリスの心の声は正直だ。




