2話 ---御使接待---
「改めまして、王家第三騎士団所属トマーシュ=レイモンと申します。第三王子ルーシフェル=ゼ―フィン殿下の使いで参りました。」
「こちらも改めまして、ルーフィン公爵家長男フィロルウェイン=ルーフィンといいます。してご用件は」
僕の後ろには師匠と執事長が控えていて。僕が主体の体裁をとっている。何かあれば後ろからツッコミが入るだろう。
「本日、ルーシフェル殿下は公領にて狩りをされる予定でしたが、途中、ルーフィン公爵家での休憩を御所望なされましたので私が先ぶれで参った次第であります。」
[若い娘がお茶会してるって情報で狙って来たくせに。無理やり要望をねじ込むこっちの身になってみろってんだ。]
相変わらず僕の耳。副音声がたまに聞こえます。どういう仕組みだろう?
「それはご苦労様です。王族からのご依頼ですと無下に断るわけにもいきませんね。しかしながら当家も今現在、貴婦人方の茶会中ですし…わかりました。西の東屋に一席設けましょう。」
「それはありがとうございます。」
「いえいえ、義母上のお茶会の反対側に当たります。せっかく殿下がいらしていただくのですから姦しい声を御耳に入れるわけにもいきません。こちらの静かな席でおもてなしさせていただきます。」
[なるほど、ご婦人方は庭の東側か。殿下の御耳には入れておくか。]
さっきは愚痴っておきながら、こういうところは点数稼ぎに使いますか。勉強になります。
この国はフイーン王国と言います。
ゼ―フィン 王族
イーフィン 水の公爵
センフィン 風の公爵
ラルフィン 土の公爵
ルーフィン 火の公爵
となっています。




