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オプティカルマジック  作者: 愉魅夢
お茶会顛末記《夏》
180/613

7話 ---男娘令嬢---

私は剣を振るうために騎士団に入ったというのに、なんで騎士服のまま執事の真似事をさせられているんだろうか?

まだ成人前の騎士見習いで、雑用もこなさないといけないのもわかります。

外出時には従僕の役割もあるとは聞いていましたが……こんなの聞いていないよ。

おまけに奥様方を「お嬢様」と呼ばせるなんぞ、どんなプレイですか!




奥様の命で女装をする羽目になってしまった。どんな羞恥プレイですか!


「貴方の所作が一番優雅なのです。それに声変わりもまだでしょ。」


一番気にしていることを~!


「今日は『エドルセ=トイナ』ではなく『エドルーゼ=トイナ』です。呼び名も『エド』ではなく『ルゼ』です。間違えないように。」




「…ゼちゃん?ルゼちゃん?どうなされたのです。」


あっ!私の事か!

しかし可愛い子だな。

こんな成りでなければ口説いている所なんだが…


「アリス様。いえ、こういった場は、私は初めてなので、その、緊張してしまって。」


嘘です。

口説いた経験なんて一度もありません。

女の子とは今日初めて会話します。

その相手がこんなかわいい子なんで緊張してます。


「ルゼちゃんもそうなんだ。私もね、奥…アマリ御姉様から急にお茶会に出るように言われて戸惑っていたのね。そうしたらフィロルウェイン様にね『またとない機会です。気兼ねなく存分に楽しんでくるように。』って言われて吹っ切れちゃった。」

「フィロルウェイン様って、ルーフィン家長男と聞いていますが。」

かなり聡明な少年、とだけは知っていますが…


「フィロルウェイン様ってね、出会っていきなり口説いてきたんだよ~。結局『お戯れ』だったそうなんだけど。その後は愛称で呼び合う事を提案されてね。私からは『ヒロ様』って呼んでいるの。」

「アリスちゃん。その話、もっと詳しく。」「私も」「どんな話」「聞きたーい!」

「それでね、ヒロ様はプリンをふるまってくれてね。あれはおいしかったなぁ。」

「噂には聞いているけどまだ食べたことないんだぁ~。」

「今日食べられるはずだよ。ヒロ様が用意してくださっていたから。」

「キャーそれは楽しみね。」「そだね~」「そだね~」「うんうん。」


姦しい会話には付いていけません。あいまいな相槌打つのが精一杯です。

しかし会話から、アリス様がフィロルウェイン様に相当な好意を抱いているのが解ります。

恋をする前に失恋ですか。笑えませんね。


「でね、ヒロ様は毎日、騎士団長に剣の手ほどき受けていてね。団長以下、団トップの皆に稽古つけてもらっているの。」


天下の英雄『無敗将軍』の指南か? うらやまけしからん。

そうなると技量は相当上か。いやいや意外と坊ちゃん剣術かも知れん。

アリス様をかけて決闘申し込むか?


「ルゼちゃん。難しい顔していないで、お茶会楽しみましょう。」


そうでした、今は令嬢『エドルーゼ』なのです。恋も決闘もこの役目が終わってからです。


「すいません、アリス様。考え事ををしてまして。」

「『アリスちゃん』」

「え?」

「皆も『ちゃん』付けで呼んでいるんだよ。ルゼちゃんも『ちゃん』付けで呼んでくれなきゃ。」

「えーと。アリス…ちゃん」

「ん。よろしい。」


アリス様は口調は可愛いのだが、お姉さんっぽいところがある。妹か、弟でもいるのだろうか?




「ご紹介にあずかりましたルーフィン家長男フィロルウェイン=ルーフィンです。」


え~~~~!

フィロルウェイン様ってこんなチミッコなの~!

これなら私でも勝てるか?


あっ

グラスに手が引っかかった。

落ちてしまう。

割れてしまう。

奥様に迷惑が掛かってしまう。


「御姉様。グラスをどうぞ。」

いつの間にフィロルウェイン様がここに?

落ちたはずのグラスを手にもって。


さっき感じたのは風の魔力。

え?速度強化術奥義が使える?

洗礼前の子供が?

私まだ、速度強化術ですらマスターしていないのに?

……勝てそうにない。

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