5話 ---魔具発見---
「ヒロ様。こちらが侍女控室となります。」
そこは、会社の給湯室? の居出立ち(中世風)であった。
侍女たち3人が、「キャッキャ」「ウフフ」していたが、ドアが開いたとたんびっくりした後、立ち上がって頭を垂れた。
ごめんなさいね。おじゃましちゃって。
ある程度は分かっていたことだが、流し台に下水はある。なんとS字配管だ。上水はない。横の水がめに毎朝、井戸からの汲み置きだ。
包丁、トング、薪ストーブ兼オーブン(おっ!ケーキ、クッキーも作れるっぽい)、あとは………
なんでIHヒーターがあるんだ?
黒いガラス?大理石?の上に同心円の数本ラインと円形模様。おまけにガラスポット(湯気付き)が乗っている。が、スイッチ類がついていない代わりに手形が一つ。
ラーヤ。説明お願い。
「冬場ですと薪ストーブがありますので湯沸かしには困りませんが、今の時期ですとこちらの『マギツ』焜炉を使います」
新単語発見『マギツ』
「こちらの手形に手を置き『マギク』を注ぎ込む事で、『マギツ』陣が働き、お湯が沸かせます。」
よく見ると、ラインではなく小さな文字が書いてある。模様ではなく文字だ。読めはしないが。
新しくガラスポットを用意して実演して見せてくれる。
ラーヤの手に光が集まり、台に伝わる。髪の色に似たきれいな青い光。
外縁陣起動。どうやら電磁波結界の様だ。
内縁陣起動。えっ?マイクロ波?
マイクロ波で、水分子が振動させられ沸騰している。
起きている現象が視認できている。なぜか理解できている。謎だ。
『マギク』=魔力 『マギツ』=魔法 とすると、この同心円上に書かれた文字群=魔法陣 ということになる。
これは紛れもなく魔導具だ。
やったー!魔法のある世界だ。ヒャッハー。
と叫びたいのを抑えて、三歳児らしく「『マギク』すごぉい」と言っておく。
とりあえず冷静に分析である。
さっき見えた光が魔力ならば、僕にも使えるかも。
「ラーヤ。僕にもやらせて」
「だめです」
えっ?なぜ?
「魔導具の使用は、6歳になってからです」
なんですかその『お酒、たばこは二十歳から』標語みたいなのは?
「幼児までは魔力や属性が安定していません。間違って魔道具に触れ暴走させると命を失いかねませんので、たとえ『絶対安全』と謳われる魔法焜炉でも、幼児が魔導具に触れることは国から禁じられています」