6話 ---涼感水幕---
一通り自己紹介終わってから。
「しかしもう夏ですね。連日暑くて参ってしまいますわ。」
「ホントに。しかしアマリ様。今回も趣向を凝らされていますね。この神殿風の東屋。まるで避暑地にいるようですわ。」
「見た目だけでも、暑さが紛れますわ。」
〈チリンチリン〉〈チリーン〉
「鈴よりも澄んだ音。なんですの? あっ、あの仕掛けですか。ただの鉄の棒が吊るしてあるだけですのに、風に揺られるだけであのような涼しい音を奏でるなんて。」
違う。
絶対に違う。
あのフィロルウェインがそんな子供だましだけで終わるはずがない。
〈チョロチョロッ〉〈チョロチョロッ〉
「どこからか水の音がしますね。アマリ様。どうなっていますの?」
ワタシモシラン!
だってー!フィロルウェインがおしえてくれないんだもーん!
そうこうしているうちに、東屋を覆う横石柱から水が落ちだしたのです。
水のカーテンです。
「どうです?これで少しは『涼』を楽しめますでしょうか?」
よくまぁ、知ったかぶりのセリフが出ること。
今回は『何か』ある事は十分判ってましたからね。それほどのうろたえではありません。
「どういった仕組みですのアマリ御姉様」
「それは秘密ですわ、フィアちゃん」
私も知らないのよ。ゴメンナサイ。
「フィロルウェインや。今回はどんな趣向かや?」
「騎士団の皆にお願いして南国の宮殿の仕掛けを再現してみました。」
「だからどんな趣向かや?」
「きっと涼しいですよ。」
「だからどんな趣向かと聞いておる」
「楽しみにしておいてください。」
「……」
「ポンプというものがあるにせよ、これは団員どもにはちょうどいい鍛錬じゃわい。そこ!ペースが落ちたら即交代じゃ。」
「団長~。うちって騎士団でしたよね。傭兵団じゃないですよね~。」
「つべこべ言うでない!そこ!腰が入ってないぞ!」




