5話 ---令嬢紹介---
「皆さんようこそおいで下さいました。今日は私の事は『アマリ』とでも呼んでくださいまし。そしてこちらが私の親戚のアリスルートです。」
「えっと、アリスルートといいます。この度、お茶会ににお呼びいただいたアマリ御姉様と、美しき皆様との出会いに、感謝の気持ちをささげたいと思います。皆さま親しみを持って『アリス』と呼んでいただけると幸いです。」
「初々しくとも、しっかりした口上ですね。」
「それにしてもあの、うっとりするような髪の色艶。髪の色が一緒なのでアマリ様と姉妹に見えますね。」
「この前のお茶会の時からですわ。アマリ様の髪が変わったのは。」
「なんでも『リンス』というものを使っているとか。」
「そうそうそれそれ。アマリ様が御贔屓にしている商会の新商品だそうよ。」
つかみは上々です。
しかしこの口上。フィロルウェインの差し金かや?
「アマリ様。この度のお招き、ありがとうございます。私、エイリースルと申します。『エイリ』とでも呼んでください。そしてこちらが親戚のエドルーゼです。」
確かバッヘン侯爵家も縁者に年頃の娘はいなかったはずですが。
…
…勝ったな。
…妾のアリスちゃんの方が2段も3段も上です。
「エドルーゼ、といいます。『ルゼ』、と呼んで下さい。」
固いのう。あの固さ、騎士見習いから連れてきたのかや。
そういえば、この前の騎士給仕の中に、似た顔の者がいたような…
…ここは詮索しないでおきましょうか。
「アリスちゃんを妾にくれぬか?」
「アリスは僕の[専属]です。義母上にはあげません。」
「ケチッ!」
「お子様ですか!」




