3話 ---異母兄弟---
とそこへ
ドッドッドッドド。かけてくる姿が。
ガタイは僕よりも少し大きいか?ぶち当たる直前にひょいと避ける。さすがにあの勢いをがっぷり受け止める体力はない。
そのまま母上のスカートの中にダイブしていった。
ボフッ!
エアバッグ以上の緩衝効果。あのスカート、どういう構造か見てみたいものだ。
「ははうえ、ボクの! おまえ、きらい! おまえ、だーだ?」
何ともバカそうな言動だが、本来の三歳児はこんなもんだ。
これが、僕の腹違い、半年違いの弟のファルシオンだ。
「初にお目にかかる。其方の兄のフィロルウェインという。」
「あに?ひろうえ?」
「偶然、母上に出会い、挨拶をしたまでの事。なにも其方から母上を取り上げはせぬ。」
半年とはいえ年上らしく大仰にふるまってみたが…はたから見たら学芸会のノリに見えたろう。貴婦人たちの温かい微笑みが痛い。
「ほんとに?」
「本当だとも。」
納得しただろうか?
「ははうえ、ふぁるは、あにとあそぶたい」
ちょっとまて。今、僕の体力で3歳児と遊ぶと…死ぬ。
「ファルシオンよ。僕はまだ体が弱い。まだ、其方の体力に付き合えるほど丈夫ではないのだ。」
「じゃ、げんきになっはら、ふぁるとあそんでくえる?」
「いいとも。よろしいですね?母上?」
「よろしい。許可しましょう。」
母は黒いオーラを出しながら、鉄の笑顔をしていた。
3歳児の体はどこかに潜むには便利だ。見つかっても「かくれんぼしてるの」で納得してくれる。
そこで拾った侍女たちの噂話から、母上は僕を疎ましく思っていることを知っている。
そりゃあ自分の息子を跡継ぎとするには僕は邪魔だろう。
そんな邪魔者と息子が仲良くなる事を快く思わないのも事実だ。
でも…
僕にとっちゃそんな事「知ったこっちゃない」である。
「家族は仲良く」がモットーなのだ。
現在、母の懐柔策思案中だが、まずは弟から
「そうだ、ファルシオン。遊ぶのは無理だが、絵本なら読んであげられるぞ。今度、僕の部屋に来るがいい。」
「ん?、やったー!こんろっていつでふか?」
脳内予定表検索中…
「明日の昼過ぎはどうだろう。」