12話 ---鶏々寸劇---
場所は変わって家畜区画だ
早速聞こえてきたのは、鶏売りの口上だ。
「さぁさ!この鶏。うちで育てた特別品種だ。」
鶏売りの兄さんの隣には、[ふんす!]とふんぞり返った2羽の雄鶏。
「他のと訳が違うよ。なんたって従順でよく言うことを聞くよ。ではその様子をご覧あれ。」
途端に殺気立つ2羽。
翼を刃のごとく打ち合いが始まる。
おっ、つばぜり合いがはじまった。
「何故に我に刃を向ける?弟よ?」
鶏売りのアテレコだ。
「兄さんに勝って、あの雌鶏を僕のものにするんだ。」
「10年早いわ!」
蹴りだされる弟鶏。
「もっと鍛えよ。弟よ…それまで待ってやる。」
ふんぞり返る兄鶏
「…兄さん…」
うなだれる弟鶏
バチパチ
パチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ!
拍手喝采だ。
2羽が立って綺麗なお辞儀をする。
「このように教え込めば寸劇まで出来る賢い奴らです。多少気難しいですがね♡
前回と同じで雄1羽に雌9羽のセットに台車付きで金貨5枚だ。10セットしかないから早い者勝ちだよ。」
「兄ちゃん! 1セットだ。」
「こっちにも、1セットくれ。」
と、どんどん売れてゆく。
おひねりも飛び交う中、そのおひねりは2羽の雄鶏が素早く回収してゆく。
ますます大道芸じみてきたな。
「兄ちゃんよ、来月も来るのかい?」
「はい!そのつもりです。」
次回が楽しみだ。




