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6話 ---獏顔海老---
「おっ。坊ちゃん。今日も来たのかい。アロノエビ。うまかったかい」
この前、エビを売ってくれたおっちゃんだ。
「おっちゃん、美味しかっったよ。ゾウエビってまだある?見せてほしいな。」
「おっ、こいつかい?」
うん。どう見てもオパピニア…ではなく
「ゾウ?」
こっちの世界にも『ゾウ』はいます。象ではなく『ゾウ』です。
獏の鼻をちょっと長くした生き物と思ってください。
「な、こいつの後ろ姿。『ゾウ』の顔にそっくりだろ」
「…ぎゃはははははははははは」
裏切られた期待と、あまりにもそっくりなマヌケな見た目に大笑いしてしまった。
この後、ラーヤに叱られた。
「人前で、大笑いするものではありません。」
…怖かった。




