5話 ---魔法陣札---
「この事とは別に少々気になったことがあります。」
「えっ…そ、それは何でございましょうか。」
ホント、ちょっと気になった事だから身構えないで。
「一般入り口の混雑を何とかならないものかと思いまして。」
「その事については、当方も何とか出来ないものかと苦慮しておりますが、なかなかいい方法が浮かばずに難儀しております。」
「やはりそうですか。一つ、コスト的に実現可能かどうか解らない方法があるのですが、お話ししてもよろしいでしょうか?」
「どんな方法でございましょうか?」
「カード制です。」
前に見たカタログにイカサマ防止カードと言うものがあった。
カード内に魔法陣が埋め込まれていて、指輪の魔道具で、同じセットのカードか判ると言うものだ。
現代ICタグの魔法版だ。
カジノでは、ディーラの眼と経験の方が摘発率は高いので、実際には売れていないようではあるが。
「魔法陣入りカードを座席数分用意しておきます。これを清算カウンターにて入場料金で貸し出します。入場口ではこれを返却してもらうと同時に入場させてゆきます。」
「なるほど。入場口ではカードのチェックのみで済むので確かにスムーズにはなりますね。」
「ただこの場合、カードを作成するコスト。カード読み取り機のコスト。カードを管理するコストがかかってしまいます。
最初のコストは初期費用と出来ますが、偽造防止、持ち出し防止などの管理を徹底しておかないといけません。
ここではカードでの話をしましたが、取り扱いによっては、タグ型、コイン型、でもいいかもしれません。」
「ブローディアよ」
父から声がかかった
「一度、これを施行した場合の見積もりを持って来てみてはもらえぬか?支援できるか検討してみたい。」
何か気が付いたかな。
ICチップは色々応用利くからね。
「今後の公演。期待しているぞ。」
「かしこまりました、公爵様。フィロルウェイン様。お聞きした案を、次回には1つでも形にできるよう精進いたします。」
今回は割と早めに劇場を後にできた。
「父上。前回は昼過ぎに市に行きましたので見れなかったものがあります。今回はまず、そこに行きたいと思います。」
「それはどこじゃな?」
「魚介区画です。」




