4話 ---双子新案---
「ルーフィン公爵様。居らしているならそう告げていただければ、個室を用意させましたのに。」
さっきの舞台挨拶時にブローディアさんにバレたらしい。
「ブローディアよ。今日はお忍びじゃ。『ルーフィン公爵なんぞここには来なかった』、よいな。」
「だからと言って公爵様をないがしろにできません。今日の公演の成功も公爵様とフィロルウェイン様のご支援があったからにございます。」
「困ったのう。フィロルウェインからもなんか言ってくれ。」
丸投げか!
「ブローディアさん。今日の公演、大変感動しました。僕の拙い説明をこのような形に昇華していただきありがとうございます。」
「なんと勿体なきお言葉にございます。フィロルウェイン様。」
「それに『侍従の鏡』もアレンジしていただきありがとうございます。今回は双子の女優を起用されたんですね。息がぴったりでしたよ。」
「新人の拙い演技をお褒めいただき恐縮です。『侍従の鏡』を見た姉妹が当劇団の門戸をたたきまして、何とか今日に間に合わせるよう特訓した次第にございます。」
双子なら、あれ。提案してみようかな。
「ブローディアさん。双子を使った演技で提案があるのですが。」
「なんでしょうか。」
「はい。実はですねえ…」
双子を使った瞬間移動(袖から消えると、反対袖から現れる。穴に引っ込むと、別の穴から現れる。)
双子を使った身体延長(幅広ボードで頭を隠すと、その反対側から頭が出てくる。)
双子を使った偽物演技(幻惑や変装怪盗などのなりすまし。バレた場合の早代わり身方法等)
を提案してみた。
「それは面白いですね。早速、双子の俳優の獲得を。いやそれより、今の女優演技をこのレベルにまで引き上げる事が先決か。フィロルウェイン様。素晴らしいご提案ありがとうございます。」
超興奮しているな。




