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オプティカルマジック  作者: 愉魅夢
銀貨亭の相談事
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8話 ---解散原因---

「『金の月兵団』解散の原因っていうのがさ、『戦飯イクサメシ』。

旦那がね、腕をやっちまってね。斧が振れなくなり団を辞めちまったのさ。

包丁は難なく使えるから、料理番として残ってくれって懇願されたけど、『二つ名で無くなった俺に、ここに居る資格はない』ってね。」


やっぱり旦那。漢だね。


「旦那の二つ名。付けたのは先代団長さね。先代には世話になったからねえ。二つ名に思い入れがあるのは、しかたあるまいよ。

で、

辞めるときに、わたしが口説かれちまったんだよ。

惚れた腫れたのない戦場さね。『わたしの相棒はコイツだ』とは思っていたけど、『コイツと添い遂げる』なんてこれっぽっちも思っていなかったよ。料理には惚れていたけれどね。」


当時の心境を聞いて旦那がシュンとしている。

が、あえてムシだ、続き続き。


「で、その口説き文句がね、

『俺はもう斧を振るうことはできないが、包丁は振るうことはできる。君の傍で一生、うまい飯を作らせてくれないか』

てね♡」


旦那が真赤だ。

セレスとラーヤは仲良く「キャー♡」なんて言ってる。髪色一緒だから年の離れた姉妹に見える。『完璧侍女』はどこ行った?

オル兄さん。「うんうん」うなずいてるけど、お相手いるの?

爺さんと父上はニヤニヤしてるな。今夜の肴、決定だな。


「わたしも適齢期過ぎちゃってたからね。あきらめかけてた所にこんなセリフ吐かれてコロッといかないわけないよ。二人そろって退団だよ。」


すんなり辞めさせてくれたんだろうか?


「で、慌てたのが、当時の料理番さね。

料理は旦那におんぶにだっこでねえ。ロクに修行しちゃいなかったねえ。

まあ、毎日、旦那の料理を見ていたんだ。他の団の料理よりまともだったと思うよ。

でも、急に料理の質も落ちりゃ、団の士気も落ちるってもんだ。

で、一人減り二人減り……

こればっかりは先代に悪いことしたねぇって思うよ。

先代は『ガハハハッ、栄枯盛衰は世の常。気にせん気にせん』って笑っていたけどね。」


先代って生きてるの?


「ヒロ君は知ってるかい。この店の元の名前。『金月亭』っていうんだよ。

そう、金の月兵団先代団長の店。

先代も料理上手でね、旦那の腕は先代直伝さね。

団を辞めたって報告したら『なら、この店と儂の苗字をやる。後は任せた』てね。

今は郊外で楽隠居してるよ。」


「おじいちゃん、たまにね、お父さんの料理を食べに来ては文句ばっかり言うんだよ。

でもあとでね『あいつ、また腕を上げたな』なんてつぶやいているんだよ。ホントに素直じゃないよね。」


先代。お孫さんにばれてますよ。

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