7話 ---見習契約---
「おばちゃん。セレスを僕の元に預けていただけませんか?」
隠すなら囲ってしまえばいいわけで、僕の専属達の中なら大丈夫だ。
それに、冷却魔法が手に入ればアイスが作れる。
「なんだい?チミッコなのに私たちの娘をお手つきにしようっていうのかい?」
ニヤニヤして、おばちゃん。解って言ってるな。
わわわ、旦那さん。その覇気止めて。おばちゃんの冗談だから。
「違いますよ。侍女見習いとして、奉公に出しませんか。って言ってるんですよ。」
はぁ~。やっと止まった。
「と、言ってしまいましたが、ラーヤ。いいですよね。」
「はいヒロ様。しかしそれには御当主様…」
「父上は、この事を見越して僕を連れて来たんですよね。」
「察しがいいな、我が息子は。」
「セレスお姉ちゃんはどうなの?」
「ヒロ君のところに行くのが一番安全なんだよね?」
「『絶対』とは言わないけど、まあ安全かな。
『君の事は僕が絶対、守り抜く』
なんて言ったらそこのお父さん、別の意味に取って、巨斧持ってきそうだし。」
僕はエロ大好きっ子ではあるが、
『ボク。ロリコンな子供じゃないよ。』
まだ3歳児がロリコンもへったくれもないんだが。
「ヒロ君とこ行ったら、お父さんお母さん安心できるんだよね。…解った。わたしをヒロ君ところで雇ってください。」
「ということです。
キャンス殿。アテルナ殿。
ルーフィン公爵家が長男フィロルウェイン=ルーフィンが、そなたたちの娘セレスティーナを侍女見習いとして預かり受ける。よろしいかな。」
正式な契約の口上だ。はっきり身分を明示し了承してもらう必要がある。
ただ、こちらが貴族の場合、相手に拒否権はないのだが。
普通、使用人を雇うのにこのような契約口上は必要ない。
しかし今回の件は、僕が責任を持つという宣誓の意味がある。
「フィロルウェイン=ルーフィン様。私キャンス=チャンドルと」「妻アテルナ=チャンドルは」「「娘セレスティーナ=チャンドルを侍女見習いとして奉公に出すことを了承します。」」
荒くれものの傭兵団と言っても、長を務めた二人だ。しっかりとした貴族との契約の口上になってる。
「フィロルウェイン=ルーフィン様。セレスティーナ=チャンドルと申します。不束者ですがよろしくお願いします。」
こちらも、ちゃんと躾けられてきたんだろう。6歳とは思えぬ口上だ。
ただ最後の台詞が不適切っ!
旦那から覇気がじわじわと…
「ヒロ君。よく旦那やフォーリアスの覇気浴びて、平気で居られるね。」
『完璧侍女』の怒気に比べたらそんなもの…




