5話 ---氷結実験---
「お姉ちゃんの事『セレス』って呼んでいいかな?」
「いいよ。えーと…。『ヒロ君』って、呼んでいいのかな?公爵様の…なんだよね。」
「non non。ここに居るのは騎士爵子息の『ヒロ君』です。OK?」
「おっ、おっけー?」
オル兄さんには、別の実験に必要なものを用意してもらおう。
「オル兄さん。………をお願いします」
「ん、解った。」
まず、コップに水を入れてもらって蓋をしてもらう。
「セレスにはこのコップの水に『ファイス』をかけてもらいます。父上、ラーヤもよく『診』ていて下さい。
セレスお姉ちゃん、お願いします。」
「では。凍っちゃえ!『ファイス』」
一瞬、コップが光る。詠唱が「凍っちゃえ!」なんて、可愛いな。
「うむ。火の魔法ということは判るが、この感覚は初めてだ。何だこの魔法は?」
「水の魔力が感じられませんね。でも水の状態は『ファイス』の時そのものですね」
丁度オル兄さんが蓋つきコップを持って帰ってきた。
「セレスお姉ちゃん。今度はこのコップに『ファイス』をかけて下さい」
「凍っちゃえ!『ファイス』…ん?手ごたえがないわ。『ファイス』…あれ?『ファイス』…おかしいなぁ」
魔法をかけるたびにコップが光る。
「そこまででいいですよ。
では結果を見てみましょう。
最初のコップは…見事に凍ってますね。」
蓋を取って皆に見せる。
「次のコップは」
蓋を取って皿に傾けると…ゴロン
「「「「「石?」」」」」
「あっ触らないで!やけどしますよ。」
皿に水を灌ぐと、石の周りからビシッビシッビシッ!と凍っていった。




