3話 ---意外事実---
「爺さんよく来てくれたねえ。」
銀貨亭のおばちゃんが出迎えてくれる。
ここは銀貨亭の裏手。
荷物の積み下ろしに便利なように馬車が停めれる様になっている。
「で、そちらの方……フォーリアス!
懐かしいねぇ。あんたが訪ねて来てくれるなんてねえ。」
「久しぶりだな。アタルナ。」
あれ?二人は知り合い?
禁断の恋? ラブロマンス?
「爺さんも人が悪いね。『信頼できる奴を連れてくる』としか言ってくれないんだから。
昼まだなんだろう。ささ、入って入って。
御者の兄さんも身内でしょ。馬、繋げたら入ってきて。
とーちゃん。大人6人前子供2人前!」
今日、店、休みだったよね?
席に着くと女の子がコップを運んでくる。
6歳位か。
屋敷でも何人か同じくらいの子を見かける。
洗礼前後位から働き始めるのは当たり前の世界だ。
「しかしお前がこんな近くにいるとは思わなんだな。」
「あたしもね、アンタにまた会えるとは思わなんだよ。爺さんがアンタとこに務めてるのは知っていたけど、アンタは公爵様だ。こんな定食屋に寄れる身分じゃ無かろうに」
「違いない。大将から話を聞かなんだら、一生知らぬままだ。」
〈コト〉
旦那さんが料理を置く。
「『月斧のキャンス』久しぶりだな。」
「ウッス」
父の覇気を堂々と受け止める旦那さん。漢だねぇ。
旦那さんの二つ名か。
戦場では巨斧を振り回してたのかな?
女の子ビビってるから覇気止めて。
「父上、この御二方とはお知り合いですか?」
「ああ、実はな…」
やっと覇気が霧散した。
「ストップ!料理が冷めちまうよ。まずはうちの旦那の料理、食べてからだよ」
「そうだな。戦場で噂だった『キャンスの料理』いただこうか」
「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」
「フィロルウェインよ。この二人は傭兵団『金の月兵団』の団長『戦女神のアタルナ』副団長『月斧のキャンス』と言ってな、この団と戦う時には苦労させられたもんだ。」
おばちゃんが『戦女神』?
今の容姿からは想像がつかないな。
「ナニ言ってんだい。うちらも雇い主の要請が無かったら、あんたらとは戦いたくなかったよ。
『無敗将軍』に『炎穿のリアス』」
おおっ。父にも二つ名があったのか。
「お前んとこの団が強かったのは、『副団長の戦飯が美味いから』と噂に聞いていたが。納得の美味さだ。」
暴露大会に花が咲く。
女の子も興味津々だ。この子、二人の娘さんだろうか?
「で?また決闘でもするかい?アンタが勝ったら私を妾にでもする~♡?」
「ちょちょ、む、息子の前でなんてこ、こ、こ、事を」
今度は旦那さんから覇気が…
う~ん。昔何があったんだろう?
ラーヤ。ボクの耳押さえてもちゃんと聞こえてますよ。
あとでおばちゃんによく聞いてみよう。
「暴露大会も楽しいが、そろそろ本題に入ろうかのぅ。」




