1話 ---体力増強---
いくら元気になったからと言っても、虚弱だった事もあり体力的にはたかが知れている。
ラジオ体操第2でへばってラーヤに叱られた。
筋力的には3歳児並みには無い様だ。
とりあえず3歳児体力まで上げることは必要だろう。
「ラーヤ。これから毎朝体操するのでへばっても叱らないでほしい。」
「ですがヒロ様が倒れられる姿は見たくありません。」
うーん。どう説得しようかな。そうだ。
「今の僕って、年相応の体力がないよね。この体力じゃ庭の散歩もできやしない。体力着けるには体動かすのが一番なんだ。早く体力着けて、ラーヤと庭の散歩がしたいんだ。」
チワワのような目で懇願してみる。
「……そうまで言われるのでしたら…。解りました。でも決して無理なさらないでくださいねっ!」
きつく言われても、涙浮かべたうれしい顔はごまかせませんよ。
万年もてない君の『俺』にスケコマシの才能ってあったっけ?
1週間でラジオ体操第二をクリア。次に庭への散歩デビューである。
…が。流石は公爵家。広い。
高台から見渡せば、近所の公園ドコロではない。後楽園は入る広さである。
植え込みも僕の背より高い。一人だと絶対、迷子になるな。
ラーヤが手を引いて歩いてくれる。
と、10分ほどで元の位置に戻ってきた。
「ヒロ様。今日はここまでにしましょう。」
どうやら僕の体力を心配して短いコースにしたらしい。
次の日、また次の日と、少しづつ距離を伸ばしていった。
1週間での散策範囲が庭の半分ほどになったころ……遭遇した。