4話 ---試験精米---
ド麦、デ麦は脱穀と同時に殻が分離されるが、コ麦は殻が外れにくい。
殻を取って粉にしてもパンにはならないので、そのまま家畜の飼料として消費されている。
この殻の外し方だが、『俺』の記憶では、米は
・突き臼
・籾摺臼
・ゴムローラ式
・インペラ式
・ジェット式
で籾摺りしていた。
このうち臼を使った方法だとコ麦が割れてしまう率が多そうだし。ゴムなんてまだ見つかっていない。
仕組みは判らないが、インペラ(羽根車)やジェットなら風魔法で何とかなるか?
…兄弟に『フールド』を使ってもらったが、脱ぷ率が1割にも満たなかった。
『プロセッサー』だと粉々…
何かにコ麦を高速で擦り付けられればいいんだよな。それは風である必要が…そうか!
まずアリスに、コ麦の殻をむいたものを見せ『硬い物』と認識させる。
次にコ麦に『ツブト』が発動できるか練習をさせる。
さらに樽の中に入れたコ麦を樽面にそって回転する練習をさせる。
回転数をだんだん上げてゆくと……籾摺り成功だ。
嬉しい誤算は、精米も同時にできていたことだ。
「アリス。この魔法を『セイマイ』と名付けます。もう少しコ麦を『セイマイ』掛けておいてもらえますか?」
皆が食べれる量ができるころには、アリスはへとへとだ。
「アリスご苦労様です。少し休んでいなさい。イリス、コ麦を洗ってください。」
まずコップで5杯分計って、水で研がせる。
「水の濁りが無くなったら、一度ザルに上げます。」
水が切れたら、漬け込みです。
「鍋に入れてから水を5杯注いで下さい。30分ほど置いておきます。」
コ麦はあくまでも米に似た穀物です。
米との多少の違いは平にご容赦を。




