12話 ---夢中茶会---
多幸感やら何やらで身もだえて寝れないか、と思いきや、すぐ寝付きました。
「ラーヤ。こっちに来て一緒にお茶しましょ。」
白い空間に白いテーブル。白いお茶セット。
そこに在りし日のお姿のアル様。
私は何の疑問も思わずに席に着きます。
「息子は順調に育っているようね。」
「はい。アル様」
「ラーヤ。いつも言ってるように二人っきりの時はもっと砕けてくれてもいいんですよ。」
「アル様はアル様です。私の主様です。」
「今のラーヤの主様は、息子のヒロ君でしょう。
あれ将来、『女たらし』になるわよ。ホントに誰に似たのやら。」
「『たらし成分』は確実にアル様です。」
「え~っ。私もラーヤに育てられたんだよ。そうなると『たらし成分』はラーヤに育てられた成分だ。そうか私と息子が『たらし』になったのはラーヤのせいだったのか。そうか。うん、私は悪くない。」
「なんで、口調、論法が親子ともどもそっくりなんですか。はぁ~。本当に私のせいな気がしてきました。」
「ラーヤ。」
「なんですか?アル様。」
「息子を育ててくれてありがとう」
「ッ!」
…うちの主様達ってもう…
「息子の事、これからもよろしくね。
そうだ、成人した暁には、筆●▲■もお願いね。」
「…淑女がそんなはしたない事を言うんじゃありません。それにヒロ様が成人のころには私はおばさんです。相手にもなりません。」
「『永遠の20歳』が何を言ってるんですか。ラーヤにならそっちも任せてもいいと思ってたんだけど。」
「それでもです。経験もない私にどうリードしろというんですか?」
「そっか、未経験か。そうなると一生、息子一筋の禁断の恋で未開通のまま…」
「確かにヒロ様一筋ですが、そういった意味での一筋ではなっくてですね…」
「息子の成人式に、あっちに夢に出て、けしかけてみようかしら。」
「アル様!!!」
「よかった。元のラーヤに戻ってくれて。」
「アル、様?」
「私が死んだあと、抜け殻の様だったじゃない。こっちで心配してたのよ。あんな状態だと、こっちにも呼べないしね。ほんと元のラーヤに戻してくれた『女たらし』の息子に感謝だわ。」
「アル様…」
「元主アルフィーニ=ルーフィンからの命令です。私を心配させないように…は違うか。あなた自身が幸せになりなさい。そのために息子を踏み台にしても構いません。
でも私の息子です。踏み台に落とし穴を仕込むぐらいやりそうですから注意するように。」
「アルフィーニ様元専属侍女長バーバラーヤ、元主様の命、謹んで承りました。
でもアル様。私、ヒロ様を踏み台になんかしませんよ。私の幸せはヒロ様の成長なんですから。」
「…息子の方が心配ね。将来『女泣かせ』にならなきゃいいけど。」
「そこは私がしっかり指導いたします。」
[一番に落とされた人間が言っても説得力ないんですけど…]
「何か言いました?」
「いえ別に。もう時間のようですね。それじゃあラーヤ。幸せに生き抜きなさい。簡単にこっちに来てはだめですよ。」
「はい、アル様」
いい目覚めです。
『魔力マッサージ』が効いたんでしょうね。
内容はよく覚えていないのですが、アル様とお話ししていた夢を見たような気がします。
アル様。心配しないでください。
ラーヤは充実した日々を過ごしてますよ。
「さて、準備も整ったことですし、ヒロ様を起こしに参りましょうか。」




