10話 ---主従夜話---
「ラーヤ。二人っきりの時はもっと砕けてくれてもいいんですよ。」
「……ヒロ様はホントにアル様にそっくりなんですね。」
言い回し等がアル様によく似ています。
時にはセリフが全く一緒の事があります。
「アル様って…故アルフィーニ母上の事ですね。父上にもそう言われました。そうですか、母上も同じことを言ってましたか。」
「やはり、血は争えませんね。」
「ラーヤ、それは違うよ。『氏より育ち』だよ。」
「そんな諺、初めて聞きました。どういった意味なのですか?」
「『その人と成りは、生まれた家によるものではない。どう育ってきたかによるものだ。』ということですよ。実際には多少は血筋が関係はしてきますが。
母上と僕との共通点は…ラーヤに育てられた事。
そうか僕がこうなったのはラーヤのせいだったのか。そうか。うん、僕は悪くない。」
「私に責任転嫁しないで下さい。これはもう少し、指導を厳しくしないといけませんね。」
こうやって茶化して、私の『侍女の仮面』はがそうとする所もそっくり。
簡単には、はがれませんよ。
「ラーヤ。」
「なんですか?ヒロ様。」
「いつもありがとう。」
「ッ!」
アル様といい、ヒロ様といい、なんで私の主様は私の一番喜ぶ言葉を、不意打ちで掛けてくるのでしょう。
ヒロ様の言う様に、こうなるように育てた私のせいなんでしょうか?




