117/613
1話 ---幼少女期---
普段は『完璧侍女』な彼女も小さかった頃があったわけで…
私が物心ついた頃には、侍女見習いとして働いていました。
母は孤児としてこのお屋敷に雇われ、その働きが認められて侍女長をしています。
本来ならば、姓のあるものと婚姻を結んだ後、子を設けるはずなのですが、母は未婚です。
なので、私にも姓はありません。
当時は『旦那様がお相手?』『さる国の王子様?』『吟遊詩人との一夜の恋?』の噂もあったようですが…。
本来なら「不貞を働いた」としてクビを言い渡されるはずが、おとがめなどなかったそうです。
孤児だったものが婚姻を結ばずに生まれた子は、孤児として扱われるのですが、その子を養育できる環境が整って入れば、特例として孤児院に行く必要はなくなります。
私は、母や先輩方に厳しくされながらも可愛がられて成長しました。
いえ、胸だけはそれほど成長しませんでした。
ぺったんこではないですよ、そこそこあります。
ただ、母がボインさんだったので、ちょっとがっかりです。
成人を境に大きくなる人もいるのでそこに期待です。




