3話 ---強化試行---
「師匠は緑の魔力、オル兄さんは赤の魔力を体内に巡らされてるのが見えました。」
「ふむ。やはり魔力の属性が強弱の要因かのぅ」
ここでは単純に魔力色ならば、赤の魔力が一番、強化率が強い事になる。
「実験してみましょう。ハル腕相撲するぞ。」
ハルと手を組み、普通に腕相撲をする。
「レディ。ゴー!」
…
「ヤッター!ヒロ兄にかった!」
瞬殺とはならなかったが負けた。
「ハルはやっぱり力が強いなぁ。もう一回だ。」
「いいよ」
自分の魔力色を赤に変えて体内を巡らす。
「レディ。ゴー!」
…
…
何とか勝てた。
?
なんか強化率がおかしいな。3割~4割増しってとこか。
「ハル。もう一回だ。頼む。」
黄色の魔力色にして巡らす。
「レディ。ゴー!」
…
2割増し位か…
んんん、拮抗してるな…
青色では…
同じか、緑…
最後に白だ!
〈バンッ!〉
「ヒロ兄。いたいよ~。」
「ごめんごめん。でも筋力強化術が少し解った気がする。」
筋力強化術は単純に『魔力を体内に巡らす』だけで発動する。
自分の属性色一致の魔力色でないと効果はないようだ。
「ハル。カード当ての時に出した『暖かいもの』があるだろう。今度はあれを体の中に巡らすんだ。」
ハルは「う~ん」と気張って何か出そうとしている。
いや、今回は出すんじゃなくて巡らすんだよ。
あ~あ、手から出ちゃってるよ。
「ハル。その手に集まった『暖かいもの』を胸に押し当て、体の中に巡らすんだ。」
難しそうだな。
「ハル。母上に抱かれて全身がポカポカした感じ。あんな風に『暖かいもの』を巡らせてみて。」
いい感じ、いい感じ。
「その状態で勝負だ。」
…
…
瞬殺とはいかなかったが、結局負けてしまった。
何度かやっても、かてない状態だ。
「うでずもうなら、ヒロ兄にまけないぞ。」
ちょっと調子こいてるな。
「じゃあ、もう一勝負行こうか?」
「うん。ボクまけないから。」
「レディ。」
全身に循環させている魔力を上半身のみに集中させて循環させるようにする。
意図的に倍の魔力を巡らす様にしたのだ。
「ゴー!」
…
〈バタン〉
「ヒロ兄。もういっかい」
…
〈バタン〉
「もういっかい。」
…
〈バタン〉
「う~、かてない。ヒロ兄ってやっぱりつよい。」
大人げない事をしたが、とりあえず兄の威厳は守られた。
が、ちょっとこの方法は危険だな。
筋肉が悲鳴を上げてる。リミッター解除したようなものか。
安全のため、しばらくこの方法は教えないでおこう。
くれぐれも言っておくが『安全のため』だ。
決して『兄の威厳のため』ではない。




