3話 ---雷術応用---
まさかアタイの魔法が癒しになるなんてねー。
あのビリッ!を調整するだっけで出来ちまった事に驚きだ。
他にも教えてもらった魔法はあるが、異端審問行き?を疑われるような魔法だヨ。なんだい?『エーイーディー』って。
先日、ヒロ様に生きているかを判断する術を教えてもらったよ。
「そんなの胸に手を当てれば一発だろう」って言ったら。
「ではその胸触っていいですか?」と下卑た顔した三歳児が目の前にいたよ。
後でラーヤ様には怒られていたが。
皆は手首や首筋に指を当て脈を診る方法を教えてもらっていたが、アタイだけ右肩と左わき腹に手を当て
「考えるんじゃない感じろ」
と言われた。どこの熱血教官だ!
と、
感じるよぉ。
これって…
「『心の臓』は動くたびに極少量のビリッ!を出しています。雷魔法に適性のあるベティには感じられたようですね。」
確かに
[ぴくんーー]
[ぴくんーー]
って…
「死んだ直後にこれが、ノイズが乗ったように[pikupipipipikupikuku]と感じられる場合があります。そういう状態の時、両手に雷の魔力をため込んで一気に流し込みます。『運』が良ければ生き返ります。この魔法を『AED』と言います。」
なんだ『運』次第かよ。
でも生き返るって『死者蘇生』?
そんなの教会の聖魔法でも不可能なはずじゃねーのか。
「『心の臓』が止まった直後なら刺激を与えてやれば、再び動き出すかもしれないってことですよ。心の臓自身、再度動き出すだけの力がない場合は無理ですが。」
死んだから『心の臓』が止まったんじゃないのか?
『心の臓』が止まったから死ぬ?
「使うときは僕が指示を出します。流石にこれは実験、実演できませんしね。」
もっともだ。
生きている者に『エーイーディー』なんて当てたら逆にショックで『心の臓』止まるゼ。
ベティへのAED説明は、この世界の文明レベルに合わせ変えています。
「心臓が痙攣中にAEDで心臓を止めれば、再び動き出す」
よりも
「心臓が止まった直後に刺激を与えてやれば、再び動き出す」
とした方が理解しやすいと考えました。




