2話 ---侍女給料---
「今日は楽しい給料日~♪」
専属になってから3回目の給料日です。
給料日とは言っても、お金をもらうわけではなく明細を貰うだけですが。
「アタイが前居たトコはそんなもん無かった。給料なんて一銭も貰っていない。」
2年前の初給料日、ベティ先輩が愕然としてました。
他のお屋敷では給料制度が違うようです。(給料そのものが無い?)
お金は屋敷で管理されています。
屋敷勤めだと基本、お金使いませんから、屋敷で預かってもらってます。
ある人なんかは親に仕送りしてもらっているそうです。(仕送りも屋敷が手配してくれてますので安心です。)
私は、休みに街に出る時なんかに少し降ろして食べ歩きするくらい。後は貯金です。
結婚資金として貯めているのですが、私の『白馬の王子様』は現れるのでしょうか?
専属になって給料増えたので、いいもの食べ歩きたいのですが、ヒロ様のオヤツやら試食やらの方が美味しいので楽しみ半減です。
って贅沢な愚痴ですね。
妹はまだ見習いなので給料はお小遣い程度です。
ヒロ様の専属予定なのですが、給料は他の見習いさんたちと変わらないようです。
今度の休みはお姉ちゃんがしっかり奢ってあげますか。
「えー!なんでこんなに増えてるのー?」
明細を見てびっくりです。
先月より増えています。まぁ、減るよりはいいですけれど。
えーと、何が増えたの?
…
役職が『部屋付き侍女』から『(准)御付き侍女』に変わってる。
…
そりゃ私は『純情』で『純粋』で…って『准』の字ちがーう!
経験不足(あっちの経験じゃないよ)で『才』がないから『部屋付き』だったはず。
なんでなんで?
「専属になった段階で、講義しましたよね。『専属とはなにか』と。その後、ヒロ様のお世話をするにあたり、その都度、指導しましたよね。その後の働きで『才あり』と私が認めました。ただ経験不足なのは否めないので『准』なのですよ。今後『准』が取れるよう頑張ってください。」
わーい!ラーヤ様に認められた!これで侍女仲間にも自慢ができるぞ。自慢したい病、発症だ!
…
…
…
う~ん、自慢できない。
自慢したら最後……奢らされる。
ただでさえ、専属になったことで嫉妬の眼を向けられている上に、試食やらオヤツやらの噂の的の中に爆弾投げ込むなど…
…
うん。黙ってよう。
私の平穏のために。
「今度の休みにねぇ。お姉ちゃんと美味しいもの食べに行くんだ。お姉ちゃん、給料、さらに上がったんだって。」
こらー!イリスー!ばらすなー(涙)




