9話 ---防御術伝---
師匠にはもう少し詳しく話をしよう。
「師匠は強化術発動時、全身に風の魔力纏ってます。」
「うむ、そうじゃの。全身に力がみなぎるように意識はしておるがそれがそうか。」
と、師匠が魔力を纏われた。
「その風の魔力ですが、防御強化の際に一瞬ですが土の魔力に変化します。」
瞬時に黄色に変わり、元に戻った。
…
「…やはり、…そうであったか。」
この爺さん、感づいていた?
「薄々、そうではないかと思ってはいたのじゃが確かめる術はなくてのう。教会に反発も出来ぬしの」
教会では、洗礼の儀で決定された属性は一生変わることがないとされている。
『神』によって決められたことが変わってしまっては、教会としては困るのだ。
しかし実際には、短時間ではあるが属性は変えれるのだ。
今日まで、自分の魔力色はともかく、他人が魔力色を変化できるなど思ってもみなかった。
まあ早速、ハルに試してみたら出来たんだが。
「それがハルに試した『金の鎧』という言葉か?」
「僕には魔力が、属性色そのもので見えます。『黄色の魔力』ではイメージ出来ないと思い『金の鎧』と言ってみたらうまくいきました。」
とそこには、超野菜人か!、スーパーモード勇者ロボか!、と思えるほど黄色の魔力を纏った師匠が立っていた。
少しして魔力は消えたが、
「これはちと、疲れるの。」
そんな駄々洩れ魔力だと疲れるの当たり前ですって。
周りを見れば、アリスやウル姉さんたち一部の者がびっくりした目でこっちを見ていた。
土属性魔力に当てられたんだろうか?
「してヒロは魔力が見える事を誰かに話したかの?」
「僕の専属以外には話していません。専属は信用のおける者達ですので。」
まあ[やっちまった]いきさつについては話する必要はないだろう。
「御当主様には話したか?」
「いえ、父上にはまだ話してはいません。この手の話をする機会もなかったので。」
「今日の事は、御当主様には儂から話しておく。この事は決して他言無用じゃぞ。魔力が見える事も、属性が変化できることも。」
「心得ています。が、父上に話して大丈夫でしょうか。」
「なあに、御当主様は教会に不信感を元々持っておられる。今日の事は納得はされても否定はされぬよ。ヒロのその『目』の要因も御当主様であろう?もっと『父上』も信用なされ。」
う~ん、確かに。
禁を破ってまでして僕を蘇らせてくれたのは父上だ。
魔法本以外で魔法系の話はしていないが、もっとこっち方面の話もするべきか?
…って、この爺さん。どこまで知ってるの?




